井上雄彦氏が描いた、バスケットボール漫画の金字塔『SLAM DUNK』。最終的にインターハイ3回戦まで進んだ湘北だったが、チームを支える三年生の存在は非常に大きかった。
赤木剛憲の存在感、三井寿の得点力、そして木暮公延のシックスマンとしての献身さ……そのどれもが湘北には必要不可欠なものだったように感じる。その三年生の引退後、湘北はかなりの戦力ダウンが予想されるが、一方、神奈川県予選を争ったほかのチームはどうだろうか。
そこで今回は『SLAM DUNK』神奈川の主要各校の戦力をおさらいしながら、三年生引退後の神奈川の勢力図を考察していきたい。
■牧の穴は大きいが、それでも強さを維持するだろう海南大附属
まずは、“神奈川の王者”・海南大附属の戦力を見てみよう。
17年間インターハイ出場の常勝軍団であり、本編では三年生の牧紳一を主力にインターハイ2位を達成した海南。牧以外にもC・高砂一馬、F・武藤正、ボックス&ワンで桜木につき神に次ぐ3Pシューターだった宮益義範らが三年生で、チームを去ることになる。
一方、来年もチームに残るのは、神奈川県予選平均得点30.3点と作中屈指の3Pシューター・神宗一郎と、一年でレギュラーだったSFの清田信長だ(8番の小菅は学年不明である)。
海南は牧を筆頭に三年生に優秀な選手が多く、彼らが抜けた穴は正直小さくない。しかし、神奈川県予選決勝リーグ最終戦の武里戦やインターハイ初戦の岩手代表・馬宮西戦など、レギュラーを温存し残り選手でしっかり試合をこなしている描写もあった。名将、高頭監督のことだ。このあたりは来年のチームも考えての采配だろう。
さらに海南は「海南大附属」という名前から考えても、“私立”である可能性が高いと思われる。
作中、安西先生が「ウチは公立だから」と言っている描写がある。『SLAM DUNK』が連載されていた90年代、公立高校は(越境入学という特例を除き)決められた通学区域に応じた学校への進学を定める、学区制が残っている都道府県が多かった。だが海南が私立校だとしたらその縛りはなく、とくに今年は「全国2位」という肩書で全国から有望な選手を集められそうだ。毎年メンバーが変わる“高校部活”において、過去17年間インターハイ出場を逃したことがない海南の強さの秘訣も、実はこのあたりにあると筆者は思っている。
神と清田、高頭監督の手腕、リクルート力。現三年生引退後も海南は間違いなく強い。
■仙道が三年となり集大成として挑む陵南
次は陵南高校だ。引退する三年生は、大型Cの魚住純と、海南戦では牧からスティールをするなどディフェンスに定評があった池上亮二だ。
彼らの穴はもちろん大きいが、陵南の驚くべきところは次期キャプテンの仙道彰をはじめ、得点力の高いPFの福田吉兆、さらには越野宏明や植草智之など試合に出場した選手の多くが二年生であり、来年もその力は維持されることだ。
二年生の段階で自分のステージまで登ってきたと海南の牧に思わせた仙道。名将・田岡監督も、仙道が三年生となる来年が“勝負の年”と考えていることだろう。
また「要チェックや!」でおなじみ、一年生の相田彦一の情報力も地味に侮れない。一年間ため込んだ彼のデータは必ず勝利に貢献するはずだ。それから彦一は、翔陽戦での湘北・宮城リョータのプレイに憧れを見せている描写もあった。もしかしたら急成長をして、PGとして活躍しているかもしれない?