1983年に任天堂より発売された『ファミリーコンピュータ』。これまでの累計販売台数は6191万台。爆発的なヒットで一世を風靡したゲーム機であり、数々の名作ゲームを世に送り出してきた。
ファミコン時代には、プレイをしてみないとどんなゲームか分からないものも多くあった。おそらく開発側が想定していない遊び方でゲームを楽しんでいた子どもも多く、逆にそのやり方のほうが有名になってしまったものもある。
そこで今回は、誰もが遊び方を間違えていたに違いない、懐かしいファミコンソフトを振り返りたい。
■裏切る気満々! 下を取られたらピンチに陥る『マリオブラザーズ』
ファミコン黎明期における作品において、2人同時プレイができるアクションゲームはとても新鮮だった。代表作といえば、やはり1983年9月に任天堂から発売された『マリオブラザーズ』だろう。
本作では土管から出現するカメ、カニ、ハエといった敵キャラを全滅させると、次のステージに進むことができる。敵キャラは床を下から突き上げて気絶させ、蹴り落とすことで撃退可能だ。
そして、1段目中央にある「POWブロック」を突き上げると、そのとき床に着地している敵キャラをすべて気絶させることができる。(ただし、気絶しているキャラは起きてしまう)。回数制限はあるが、襲ってくるファイアボールも消すことができるので非常に心強い攻撃方法だ。
通常ではこのように敵キャラを撃破していくのだが、本作での2人プレイではついつい相手の邪魔をしてしまう。というのも、プレイヤーキャラも、下から突き上げられると敵キャラと同じように、制御不能でジャンプしてしまうことになるからだ。
これがまた面白い。上段に上がって敵を倒そうとしても、相手に下を取られたらピンチに陥る。突き上げられると動けなくなり、そのまま敵キャラに接触して死んでしまうのだ。
さらに、気絶している敵キャラをわざと起こして相手プレイヤーに差し向けることも可能だ。敵は気絶状態から復帰すると2段階までスピードアップし、とくにピンク色になったカニの速さは脅威だった。なので、気絶している敵をうまいタイミングで叩き起こして、プレイヤーに届くように向かわせるのは最高のハメ技となったのだ。
また、「POWブロック」を使って気絶した敵キャラをわざと起こしたり、相手のジャンプした着地点に入ってこちらのジャンプで突き飛ばすと、相手は対岸まで飛んでいく。そこへ敵キャラが来るように合わせておけば、見事に死んでしまう。
極めつけは、急に出現するファイアボールだ。上下にゆらゆらと動くファイアボールは、真上にくるとそのままかわせて、真下にくるとジャンプで回避可能だ。
ファイアボールが出てきたら、相手に体をぶつけて移動をブロック。背中に迫ってくると「どけよ お前!」なんて、怒号が飛ぶ。しかし直前でファイアボールをかわされてしまい、逆に自分が被弾してしまうこともよくあった。
「協力しよう」と言いつつも、お互いに裏切る気満々だったのが楽しかったものである。
■司令官の真似をして増援を呼んだ…戦略重視の『バンゲリング ベイ』
1985年2月にハドソンから発売されたのが、シューティングゲームの『バンゲリング ベイ』だ。
当時の小学生たちはこのゲームの難易度に霹靂したものであり、筆者も頭を抱えた覚えがある。しかし、高学年になるにつれてファミコンに慣れていったこともあり、友人宅で再度遊んでみたら意外と面白くハマったものだった。
さて、本作で2人プレイをする場合は、最初から敵味方に分かれている。1プレイ側はヘリコプターを操作し、空母を守りながら敵軍をせん滅させていく。そして2プレイ側は司令官となって1プレイ側を撃墜させるよう、高射砲や誘導ミサイルで攻撃するのだ。
さらに2プレイ側にはマイク機能が備わっており、マイクをONにして声を入れると、バンゲリング帝国の増援を呼ぶことが可能となる。
このときの“声”はなんでも良いので、映画や漫画に登場する司令官の真似をしたりもした。もはや気分は『サンダーバード』のジェフ・トレーシーで、国際救助隊をバンゲリング帝国に置き換えてみたりもした。だが、ヒートアップするあまりに罵詈雑言で罵り、ケンカに発展することもあったな……。
基本的に2プレイ側が圧倒的有利だったので、1プレイ側が上達してくると激しいシューティングゲームと化していたものである。