「全てのゲームは、ここに集まる。」。そんな大胆なキャッチフレーズを掲げて発売された初代PlayStation(PS)も、2024年12月3日をもって30周年を迎える。このキャッチフレーズを目にしたあの日から我々ユーザーのワクワクはとどまることなく、そのクオリティを上昇させ続けながら、今や「PS5」まで進化するに至った。
30年の歴史のなかでPSシリーズは数々のソフトを生み出してきたが、各ソフトの発売時には初代PSのような印象的なキャッチフレーズがプレイ意欲をかき立て、多くのユーザーを名作の世界にいざなって来たのである。
そこで今回は初代PSの記念すべき30周年に先駆けて、プレイ意欲を掻き立てる名作PSソフトの印象的なキャッチフレーズについていくつか紹介していこうと思う。
■RPGの概念を改めて提示した珠玉の名作『幻想水滸伝』
PSの発売からおよそ1年が経過した1995年。すでに数多くのソフトが発売されたなか「プレイステーションよ。これがRPGだ!」と、大々的なキャッチフレーズとともに発売されたのが、『幻想水滸伝』である。
本作最大の特徴と言っても過言ではないのが、108人の仲間が登場する点だろう。“roleー playing=役割を演じる”とはよく言ったもので、108人もの仲間が登場すれば、誰かしらの感情に共感できるというもの。そうして、プレイヤー自身が共感しやすいキャラのみを選択して遊べるのだから、本作のキャッチフレーズ「これがRPGだ!」の説得力は絶大だった。
多くのファンを獲得した1作目に続き「その強さがあれば、全てを守れると思った…」という『幻想水滸伝II』のキャッチフレーズも印象深い。どこか儚さを連想させるこのキャッチフレーズを受け、1作目から続く本作の壮大な物語がどのように着地するのか、プレイする前から想像を膨らませてくれた。しかし終盤までプレイしていると、このキャッチフレーズがとあるキャラクターのセリフであることに気付くのである。
『幻想水滸伝』は2025年3月6日に『幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争』の発売が控えているため、このセリフに関する深堀りはあえて避けておこうと思う。当時のプレイヤーたちのようにこのキャッチフレーズに心動かされた未プレイの人たちは、ぜひともこれを機に『幻想水滸伝』の世界観に触れてみてほしい。
■そのフレーズが踏み出す勇気をくれた『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』
前述した『幻想水滸伝』のリマスター版が発売を控えているように、1990年代から2000年代のリメイクが昨今のブームとなっている。最近では11月に発売された『ドラゴンクエスト3』のリメイクが盛り上がりを見せている。
そこで、2000年に発売され「ひとは、誰かになれる。」というインパクトのあるキャッチフレーズを残した『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』を紹介しようと思う。
世界にたった一つしかない島“エスタード島”に住む主人公が、ひょんなことから世界中の封印されし大陸を解放しながら魔王討伐を目指す物語の本作。開始直後から、世界が滅亡の一歩手前という危機的状況にあるのが物語の大きな特徴だ。
パッケージにも描かれている緑の服の純朴そうな少年が、やがて世界を救う英雄になっていくことを鑑みると、非常にしっくりくるキャッチフレーズである。
ほかにも『VII』には“モンスター職”というものが存在し、職を極めると特定のモンスターになれるという意味でも、このキャッチフレーズが効いてくるのが面白いところだ。もちろん、プレイヤー自身が主人公になりきる“RPG”というジャンルの最大の特徴に対するフレーズとして捉えても決して間違いではないだろう。
人間の可能性を示しているような、短くも力強いこの言葉。現実においても、現状の自分に満足がいっておらず悶々としている人には、ぜひ思い出してほしいフレーズだ。