■なぜか愛されるトンパというキャラクター
トンパはその登場回数のわりに、ファンの間で知名度の高いキャラとなっている。序盤のハンター試験編のキャラでありながらも、強烈な印象を残しているのだ。
人気の理由には「意外に高い実力がある」という点も挙げられるだろう。そもそもハンター試験は会場にたどり着くまでも難関で、トンパは35回もハンター試験で生き残っている時点でかなりの実力を持っている可能性が高い。
獰猛な動物がいるヌメーレ湿原でも生き残り、第3次試験まで突破する実力は、一般人としてはかなり優秀だ。原作でもアニメでもコミカルな面が前面に出ているので、その能力的な優秀さは目立っていないが、それでもある種の愛されキャラとしての地位を確立している。
極めつけは2011年のアニメで、彼のキャラクターソングが作られていることだ。そのタイトルは「オチロ底マデ」であり、2011年版アニメでトンパ役を務めた桜井敏治さんが歌っている。自身がつぶしてきた者の絶望の表情を描写しつつ新人つぶしの楽しさをねちっこく歌い上げる、実にトンパらしい歌だった。
この楽曲は『HUNTER×HUNTER キャラクターソング集1』に収録されており、他の人気キャラを差し置いてトンパの楽曲が収録されていることからも人気の高さがうかがえる。
トンパはとにかく強烈な印象を与えたキャラだ。原作での最後の登場はキルアの2度目のハンター試験の時で、キルアに見つからないようコソコソ隠れる姿が描かれていた。この試験では他の受験者とまとめてキルアに気絶させられて脱落したはずだが、現在何をしているのかは不明である。
「新人つぶしのトンパ」は、ハンター試験編を面白くするためにも必要不可欠なキャラとなっている。ハンター試験は肉弾戦だけでなく、戦略性が高かったり、人間心理を揺さぶる描写があったりするのも特徴だ。そんな試験を体現しているともいえるトンパに注目すると、ハンター試験編を新たな視点で楽しめるかもしれない。