冨樫義博さんによる『HUNTER×HUNTER』は、数々の「ハンター」たちの冒険や戦いを描く人気作品だ。本作には個性的なキャラたちが数多く登場し、サブキャラクターであっても強烈な印象を残すことも少なくない。そんな中、序盤に強い印象を残したのが、「新人つぶしのトンパ」だろう。
トンパはハンター試験をかき乱すのを生きがいとし、35回ハンター試験を受け続けているという変わり者である。実に迷惑なキャラといえるが、その卑怯な考え方や心理戦に長けた性格から、実はハンター試験に必要な存在だったのではという意見も存在する。そこで、この記事ではファンからも人気がある「新人つぶしのトンパ」をあらためて振り返っていこう。
■受験者たちを罠にかける「新人つぶしのトンパ」
まずはトンパとはどんな人物なのかを見ていく。彼の初登場はハンター試験の第1次試験だ。
さまざまな試練を突破し、ようやくハンター試験の会場に着いたゴン、クラピカ、レオリオ。その会場内で接触を図ってきたのがトンパだ。彼は10歳から35回試験を受け続けていると語り、試験に精通している良きアドバイザーのように振る舞う。
ニコニコ笑いながらゴンたちに飲み物を手渡すトンパは、はじめ善人に見えた。しかしこれこそが「新人つぶしのトンパ」の罠、「下剤入りジュース」だった。ただし、ゴンには「このジュース古くなってるよ!!」と味が変なことに気づかれ、キルアには「オレなら平気だよ 訓練してるから」と毒に耐性があることを明かされ、この作戦は失敗している。
試験が始まると、トンパが受験者のメンタルを壊すため動いていると徐々に分かってくる。別の受験者と手を組んで、ニコルという生意気な受験者を再起不能にさせる場面もあった。その時には新人つぶしに関して「オレの生きがいだからな」とその本心を打ち明けている。
トンパの不思議なところは、自身は試験に合格する気がないという姿勢だ。第3次試験では、受験者を見物して刺激を感じるためだけに試験に参加していると告白し、「ハンターになる気なんかハナからないのさ」と語った。それを35回も繰り返しているのだから、かなりの変わり者であるのは間違いない。
■心理戦も重要なハンター試験には必要な存在?
トンパは受験者にとっては迷惑極まりない存在である。しかし、ハンター試験の特性上、トンパのようなキャラクターは必要悪なのではないかという意見もある。騙し騙されるというのはプロハンターの世界では当たり前で、トンパのあの程度の工作にハマるようなら不適格であるのは間違いない。4次試験でレオリオを騙したトンパが、「だまされる方が悪いのさ」と話している通りだ。
ハンター試験では、ヒソカのように受験者を襲ったり、ゾルディック家や幻影旅団のメンバーのように危険な激ヤバ受験者も多い。こうしたことから、「つぶしがいがあるってもんだ」と新人つぶしに使命感すらも抱いているトンパのような、殺さずして実力のない者を排除する動きは歓迎していてもおかしくはない。
ハンター協会も、プロハンターのレベルを保ちながら試験の難易度を調整することに苦慮しているようだ。実際にゴンたちの受けたハンター試験では、全員脱落という衝撃の展開もあったほどだ。
この時は救済措置が取られたからよかったものの、レベル設定は相当難しいようだ。それを踏まえても、レベルの低いものをふるいにかけるという意味では、トンパはハンター試験にとっては「必要悪」といえるかもしれない。