世界中で大人気のスタジオジブリ作品には、魅力的なキャラクターが多く登場する。『もののけ姫』のアシタカや『ハウルの動く城』のハウルなど、素敵なイケメンキャラも多く、ファンのなかでは“誰が一番好きか”という話題で盛り上がるのが鉄板だ。
何を隠そう、かつては筆者も『耳をすませば』の天沢聖司にどハマりし、ビデオテープが擦り切れるまで視聴した一人だ。しかし大人になり、あらためてジブリ作品を見返してみると、昔とは違ったキャラが魅力的に見えてくるもの。
そこで今回はジブリ作品に登場する、“大人になったら魅力が分かるモテ男”をご紹介しよう。
■実はキレ者で野心家!『風の谷のナウシカ』クロトワ
1984年に公開された『風の谷のナウシカ』は、風の谷で暮らす少女・ナウシカを主人公に、“瘴気”と呼ばれる毒ガスを出す森・“腐海”と、腐海に暮らす巨大な生物・“蟲”、そして人間との戦いや共生をテーマに描かれた、言わずと知れたジブリの名作だ。
本作には心優しく勇敢な少年・アスベルや、腐海一のの剣の名手でナウシカの師でもあるユパなどカッコいい男性キャラが次々と登場する。そのなかで、大人になってからその良さが沁みてきたのが、トルメキア軍の参謀・クロトワだ。
クロトワはトルメキアの皇女・クシャナに仕える部下で、ヘラヘラとしたニヤケ顔が印象的なキャラクターだ。映画ではクシャナの尻に敷かれる様子がうかがえるため「ダメ男なのかな?」と思わされるシーンも多い。
しかし実は、クロトワはかなりのキレ者であることが物語が進むにつれて判明していく。ダメ部下を装っていたのもクロトワの真の目的を遂行するための猿芝居であり、自身は野心家で頭も良く、さらに腕も立つというハイスペック男子なのだ。
クシャナが行方不明となった際、軍の指揮をとることになったクロトワ。その後、クシャナが発見されると、「短けぇ夢だったなぁ…」とボヤくクロトワの渋さたるや、あらためて見てみるとグッとくるものがある。
なにはともあれ、クロトワの魅力は原作あってこそである。映画だけでは知ることができないクロトワのイケオジ感を堪能することができるので、未読の方はぜひ読んでみてほしい。
■多くを語らない寡黙な職人!『魔女の宅急便』パン屋のフクオ
1989年公開の『魔女の宅急便』は、角野栄子さん原作の児童書を原作に映画化された作品である。魔女見習いの少女・キキが一人前の魔女になるため、見知らぬ街・コリコで仕事に恋に奮闘していく姿が見どころだ。
本作で注目したいのは、キキが身を寄せるパン屋「グーチョキパン店」の主人・フクオだ。彼はパン屋のおかみ・おソノの夫で、パン職人をしている。
寡黙なフクオは作中ほとんどセリフがないのだが、あるシーンでは黒猫のジジが見ていることに気づいてオーブン用天板を両手でクルクル回し、バチンッとウインクしたりとお茶目な一面も見せている。また、作中で登場する「おとどけものいたします キキ」と描かれた、キキの“仕事用の看板”を作ったりと、彼女の仕事を陰ながら応援していたのも印象的だ。
とくに忘れられないのが、飛行船から転落しそうになったトンボをキキが無事救出したときのシーンだ。それをニュースで見てにっこり微笑んだフクオ。その顔からは、彼の優しさが溢れんばかりに滲み出ていた。
身重のおソノを気遣う様子、産気づいたおソノに駆け寄る姿からも、彼が良き夫であることは明白だ。そして、エンドロールでは無事に生まれた子どもを抱き、ミルクをあげていることからも、良い父親になっていくであろうことが想像できる。
実はファンの間で「結婚したい男性」として名前が挙がることが多いフクオ。彼の魅力は良き夫であり、優しい父であるところにあるのだろう。