■YAZAWAだけじゃない! 生徒役も豪華な顔ぶれがズラリ

 『アリよさらば』は矢沢さんはもちろん、当時人気の若手俳優が生徒役として出演していたことでも話題となった。

 長瀬智也さん、松岡昌宏さん、井ノ原快彦をはじめ、加藤晴彦さんや小沢真珠さんなど、現在でもマルチに活躍している俳優陣が勢ぞろいしており、今考えても豪華なキャストぶりに驚いてしまう。

 また彼らが演じた生徒たちは、いじめや家庭問題、恋愛など、当時の高校生がリアルに抱える悩みを同じように持っており、そのこともストーリーに深みを与えていたように思う。

 たとえば小島聖さん演じる園田春野は、高校生という立場で同級生の子どもを妊娠してしまう。周りには中絶をすすめられるものの、自分の体の中で育つ命に葛藤を抱える春野。良太は生物研究員だった立場から、“子どもをおろすのは動物の中では人間しかいない”と中絶に反対したりもしている。だが、物語は思わぬ方向へと向かっていくのだが……。

 矢沢さん演じる良太は、彼らの問題に向き合う過程で厳しさと優しさのギャップを見せており、その繊細な演技がドラマをより魅力的なものにしていた。キャストの豪華さとリアルな描写が織り成すストーリーは、多くの視聴者にとって忘れられないものとなった。

 

 『アリよさらば』では、ロックミュージシャンとしてのカッコよさもさりげなく見せつつ、自然な演技も好評だった矢沢さん。

 スーパースターである矢沢さんがあっという間に問題を解決してしまうのではなく、一人の教師として時には解決できない問題に葛藤する姿が新しく、魅力的だった。

 来年はソロデビュー50周年を迎える矢沢さん。これからも、日本のみならず世界中のファンに愛される「永ちゃん」の進化と飛躍に大いに期待したい。

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