恋のおまじないにTRAPSペンダントも…小中学女子が夢中になった占い雑誌『My Birthday』の思い出の画像
雑誌『My Birthday』1997年5月号より、ファッションやエンタメ情報も充実していた(編集部撮影)

 はるか昔から、我々の身近にあった「占い」や「おまじない」。生年月日で運勢を見たり、厄災除けや願望成就のおまじないをかけたりと、ジャンルを問わず、誰もが一度は試したことがあるのではないだろうか。

 特に女性は、恋愛の占いやおまじないを実践した人も多いはず。そんな恋する乙女たちから絶大な支持を受けていたのが、今から45年前の1979年に創刊された占い雑誌『My Birthday』(実業之日本社)だ。

 当時、ティーン向けの占い雑誌というのは非常に斬新だった。本誌を手に取り、初めてスピリチュアルや心理学の世界に触れたという読者もいるはずだ。今回は、小中学生女子のバイブル的存在だった「マイバ」こと『My Birthday』がどのような雑誌だったかを振り返ってみたい。

■全部試した猛者も多数!豊富なおまじない&占い

 スマホもなかった時代に、口コミだけで発行部数を40万部近くまで伸ばした「マイバ」。占星術や手相といったメジャーなものから白魔術・黒魔術といったコアなものまで、あらゆる占術を子どもにわかりやすく解説する革新的な雑誌だった。

 監修していたのは、悩み相談や毎日占いで悩める少女の心に寄り添うルネ・ヴァン・ダール・ワタナベ氏、多種多様な心理テストを提供していた浅野八郎氏をはじめとする著名な占術家ばかりである。 

 そして、数々の企画を手掛けた西洋占星術師のマドモアゼル・愛氏。印象的なのは、氏の発案だという「あなただけのホロスコープ」だ。これは1980年の第一回応募者全員プレゼントで、応募数はなんと2万通もあったのだとか。

 人気企画だったのはやはりおまじないだ。ブームの火付け役となった占術家は、マーク・矢崎氏。各氏が出すおまじないは、ジャンルも幅広く見ているだけで楽しめるものばかりだった。

 たとえば、ルネ氏の恋を引き寄せるおまじないに「金星が輝く晩にワインを供えて呪文を唱え洗面器と鏡を用意して覗き込む」というものがある。小中学生がワインをこっそり用意するのはなかなか至難の業だが、何ともロマンチックではないか。 

「消しゴムに好きな人の名前を書いてバレずに使いきれたら両想い」「左手小指の爪に赤いペンで星を書いて絆創膏で隠すと好きな人と話せる」といったおまじないは、手軽で知名度も高かったように思われる。しかも効果があったのか、当時筆者の周りには実際に彼と接近できた子もいたから驚きである。

 さらに、「毎日の占い」も多くの読者が注目した企画の一つ。毎号掲載されるこの占いを、毎日チェックしてから学校に行っていたという読者は筆者だけではないだろう。

■おまじないグッズも魅力的!みんな持ってたTRAPS魔方陣ペンダント

「マイバ」を語る上で欠かせないのが、毎号読者のハートを鷲掴みにしていた付録とおまじないグッズである。付録は占いに関するアイテムや冊子が基本となっていて、「夢占い大辞典」「おまじない全集」「心理テスト集」など濃くて読み応えのある内容のオンパレード。友人たちとキャーキャー言いながら盛り上がったものだ。

 ほかにも、小中学生向けの付録にしては革新的なタロットカードが付いていたのは印象深い。まつざきあけみ氏によるレトロで繊細なタッチの絵柄が美しく、読者はカードの意味を調べながら夢中になって恋占いをしていた。

 そして、誰しもがそれぞれの思い出を持っているであろうおまじないグッズたち。全員大サービスでも可愛いキーチェーンやペンダントなどのグッズが貰えたが、毎回注目を集めていたのが「ショッピングコーナー」や「魔女っこハウス」で販売されていた様々なおまじないグッズである。

 価格は1000円前後のものが多かったが、中には「ソロモン王ワッペン」のように3000円を超えるものも。「マイバ」では年会費1000円程度の有料会員制度を導入しており、会員になれば多少割引されるものの、それでも小中学生には高価だ。そこで少女はお小遣いを貯めたりお年玉を使ったりと努力をしながら、お目当てのグッズを手に入れていた。

 数ある商品の中でも効果的なレビューが多くダントツ人気だったのは、TRAPSの回文が書かれたプレート型の「TRAPS魔方陣ペンダント」である。読者の大半と言っても過言ではないほど、当時は多くの少女がこのペンダントを身に着けていた。

 ちなみに筆者は、TRAPSペンダントとコボルトさん人形のキーホルダーを買った。実際に願いが叶ったかは定かではないが、持ち歩くだけでワクワクしたあの頃の気持ちは今でも忘れられない。

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