酒井一圭さんは純烈のリーダーであり、プロデューサーでもある。酒井さんの優れたプロデュース力が、グループを成功に導いたのだ。その才能は、実は『スーパー戦隊シリーズ』に出演していた頃からすでに発揮されていた。今回は『百獣戦隊ガオレンジャー』撮影時の秘話と、当時酒井さんが何を考えていたのか、そしてこれからの純烈について、演者兼プロデューサーという酒井さんならではの視点から話を聞いた。(第3回/全3回)
『ガオレンジャー』の視聴率がよかった理由
──『百獣ガオレンジャー』(2001年)は、視聴率10%以上を記録するなど、00年代以降の『スーパー戦隊シリーズ』作品のなかでも突出したヒット作です。また、金子昇さん、玉山鉄二さんの存在もあって「『スーパー戦隊シリーズ』=イケメン」のイメージを浸透させて新たなファン層を開拓した印象があります。
酒井 『スーパー戦隊シリーズ』をV字回復させて、熱くさせたかったんですね。ほんで、プロデューサーに「ブームを作っちゃいましょう」と話をして、「マスコミで応援してくれる人おらんのか」と疑問をぶつけました。たとえば、「夜の世界の女性が、朝方家に帰ってテレビつけたら、戦隊をやっていて、“ちょっとカッコいいと思った”」とか、そんな記事を書いてくれへんかなと(笑)。せっかくなら、デカい新聞社の人がいい。「大新聞が書けばスポーツ紙も女性誌もついてくるやろ」と考えていました。
──ヒットの裏に酒井さんの暗躍があったのですか。
酒井 だいたい撮影は日が暮れると終わるので、夜は人間関係を広げるための飲み会ですよ。「紹介してくれ」と人の輪を広げていって。ちょうどネットが普及し始めた時期なので、出演者のプロダクションに「ウェブサイトを作ってくれ」とお願いして。東映にも、「もし、出演者のパーソナルの部分が役柄のイメージとは違ってもプロテクトしないでほしい。そこも出していったほうが応援してもらえる。俳優として未来につながっていく」と頼んで。
──ガオブラックの牛込草太郎を演じながら、完全にプロデューサー的な動きをしていたんですね。で、酒井さんの主張が正しいことを高視聴率が証明することになったと。
酒井 せやから6人目のガオシルバーを決めるオーディションのときは、俺が審査する側にいたんです(笑)。でもね、1つ上の学年に不良が多いと、次の学年は厳しくされるみたいなのってあるやないですか。翌年の『忍風戦隊ハリケンジャー』のときは、制約が多くなって、「『ガオレンジャー』の酒井はどうかしている、俳優だけど何を考えているかわからない」みたいな話は広まっていたみたいです。