■声優も豪華だったドラえもんズ

 それぞれの性格や関係性も豊かでありながら、担当する声優も豪華だった。声優は途中で交代することもあったものの、たとえば王ドラは『新世紀エヴァンゲリオン』綾波レイ役の林原めぐみさん。その他、ドラリーニョは『忍たま乱太郎』のしんべヱ役の一龍斎貞友さん、エル・マタドーラは『それいけ!アンパンマン』のばいきんまん役の中尾隆聖さんが務めている。

 個性的な彼らの前では、あんなに有能なドラえもんですら、その個性がかすんでしまうほど。実際にドラえもん本人も自分の無個性に悩む描写がある。立場が対等な仲間といるドラえもんは、のび太たちの前にいる時とはまた少し違った雰囲気にみえて楽しい。

 そしてもうひとつ、視聴者の我々が憧れたのが「親友テレカ」の存在。親友テレカは彼らの友情の証であり金色に燦然と輝くカード。ドラえもんズの映画ではここぞという場面で登場した。ちなみにテレカはテレホンカードではなくテレパシーカードのことらしい。「自分もほしい!」と思った子どもたちは少なくないだろう。

 またドラえもんズは『月刊コロコロコミック』や学年誌で漫画が連載されていたこともあったため、コミカルに動く漫画版の印象が強い人も多いかもしれない。懐かしい気持ちが蘇ってきたところだが、今ドラえもんズたちに会うにはDVDの購入もしくはレンタルをするしかない。

 しかし朗報である。現在、Amazonプライムで配信されている「藤子・F・不二雄生誕90周年記念 映画併映作傑作選」にて、先述の『2112年 ドラえもん誕生』も配信中で、初登場の初々しいドラえもんズの姿をかいま見ることができる。ほんの少しの登場だが、見逃す手はないだろう。

 派生作品とはいえ、これほどまでに魅力的なキャラが生まれたことはファンには喜ばしいことであることは間違いない。いつかまた彼らに会える日を願ってやまない。

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