1979年から2005年までの約26年間、アニメ『ドラえもん』で、ドラえもんの声を担当した大山のぶ代さんが2024年9月29日に亡くなった。慣れ親しんだあの声をもう一度聞きたいと、あらためて「のぶ代ドラ」の活躍する過去のエピソードや映画を見返したという人も多いのではないだろうか。
『映画ドラえもん』シリーズといえば、毎回アニメとは違った壮大な世界観が描かれ、多彩なゲストキャラが登場することでおなじみ。中でも同時上映の映画に登場した、ドラえもんにそっくりな猫型ロボットたち「ザ☆ドラえもんズ」も、同作の魅力を語るうえで欠かせない。
世界の国々をモチーフとしているドラえもんそっくりの彼らは、日本代表のドラえもんを含めて全部で7人。どら焼きが好物という共通点以外は、それぞれのキャラが強い個性を持っていた。今回は、2002年まで大活躍し、当時の子どもたちを熱狂させた「ドラえもんズ」の思い出を振り返りたい。
■個性豊かなドラえもんズの面々
ドラえもんズの初お披露目は、1995年3月に公開された『映画ドラえもん のび太の創世日記』の同時上映作品である『2112年 ドラえもん誕生』でのこと。
このときはドラえもんのロボット養成学校時代の友人として登場しており、セリフのないキャラも多かった。しかし、これ以降ドラえもんズは1996年から2002年まで、本編の映画と同時上映された短編映画で大活躍。それぞれの映画できちんとメインとなるキャラクターも異なっている。
ドラえもんズのメンバーは日本代表の「ドラえもん」の他に6人おり、実はそれぞれ時代も場所も異なったところにいるという設定だ。
西部時代のアメリカのガンマン「ドラ・ザ・キッド」、サッカーが得意で抜群の運動神経を持つブラジルの「ドラリーニョ」、中国のカンフーの達人「王(ワン)ドラ」、スペインの闘牛士「エル・マタドーラ」、サウジアラビアの魔術師「ドラメッド三世」、ロシアの無口な「ドラニコフ」と、名前もそれぞれの国っぽさが意識されている。
彼らは見た目のかわいらしさだけでなく、細かいプロフィールがきちんと設定されているところがハマる理由だったように思う。たとえば、ドラ・ザ・キッドは映画ではドラミちゃんといい関係になったことも。普段は自信満々なのに実は高所恐怖症で、映画ではたびたびヘタレな一面をみせているところも親しみやすかった。
ドラリーニョはいつも元気にサッカーボールと一緒に走り回っていて、見ているだけで楽しい気持ちになるキャラ。ミニドラを多く従えており、当時人気キャラだったのか、劇中での活躍も他のキャラより多かったように思われる。今「ドラえもんズを覚えている?」と聞くと、メンバーの何人かのことは忘れてしまっていても、彼のことは覚えているという人が多いのではないだろうか。
またドラメッド三世は怒ると巨大化したり、水が大の苦手だったりと特徴が多く、映画の中でもここぞという場面でその特徴を生かした大活躍(?)を見せることが多かった。
いつもマフラーを巻いており無口なドラニコフは一見影が薄いが、満月など丸いものを見るとオオカミに変身して暴れ出してしまうというギャップがある。しかも辛い物を食べると火を吐くことすらできる。猫型ロボットなのに、オオカミ? というところもご愛嬌だ。
またそれぞれの関係性にも注目。王ドラは真面目な性格で女性に免疫がないが、エル・マタドーラは美女に目がない。性格が合わない2人はライバル同士で、映画でもたびたび喧嘩をしていたのが印象的だ。
そのエル・マタドーラはヘビのように細長いものが苦手なのだが、笛でヘビを操ることができるドラメッド三世のヘビにビビることもあった。
画面を所狭しと駆け巡る個性的な彼らの姿に、友人同士で「誰が一番好き?」という話題でも盛り上がったものだ。