テレビアニメといえば、番組終了時に流れる“エンディング”も大きな見どころの一つで、昨今では作品ごとに非常に凝った演出や映像が流れるものも多い。作品の個性や見どころ、テーマ性をギュッと凝縮したアニメエンディングなのだが、なかには衝撃的な演出で視聴者に大きなインパクトを残したものも……。
そこで今回は、多くの視聴者の記憶にあまりにも強いインパクトを残した、アニメの“怖いエンディング”について見ていこう。
■“おばけ”はすぐそこにいるかもしれない…『ゲゲゲの鬼太郎』
数々の人気漫画作品を世に送り出してきた、ホラー漫画界の巨匠・水木しげるさん。彼の代表作『ゲゲゲの鬼太郎』は、今もなお新たなアニメや映画作品が生み出され続けている。
放送時期に応じて、ストーリー背景やキャラクター設定が進化を遂げている本シリーズ。なかでも恐ろしいエンディングで有名なのが、1985年から放送されたアニメ第3期だ。
それまでアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』は、オープニング曲に「ゲゲゲの鬼太郎」、エンディング曲に「カランコロンの歌」が使われ、シリーズを通して受け継がれてきたのだが、第3期ではエンディングに吉幾三さんが歌う「おばけがイクゾ〜」が新たに起用された。
鬼太郎、ねこ娘が曲のリズムに合わせて飛び跳ねるなか、水木さんの描いた“妖怪”たちの絵が背景を飾っていく。
なによりも特徴的なのは、やはり「おばけがイクゾ〜」の曲調だろう。吉さんは“津軽弁”の訛りを残しながら、“民謡”のような独特の響きでこの曲を歌い上げている。
そんなしっとりとした歌もさることながら、“言うことを聞かない悪い子のところには夜中に迎えに来る”といった内容の、“おばけ”の存在をほのめかす歌詞が実に印象的で、妖怪たちが今もそばにいるかのような仄暗い感覚を抱かせるエンディングテーマなのだ。
また、エンディングの最後、曲のフェードアウトに合わせてアニメ版の妖怪たちが画面外から「わっ」と驚かせるかのごとく現れるシーンも、当時、テレビを見ていた子どもたちに強烈なインパクトを与えたことだろう。
『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズにとって欠かすことのできない、得体の知れない“妖怪”という存在が持つ恐怖を存分に押し出した、実に味わい深いエンディングだった。
■仲間たちの“死”を予感させる不穏極まりない歌詞…『ガンバの冒険』
1975年に放送されたアニメ『ガンバの冒険』は、主人公のネズミ・ガンバが強大な敵から島を守るため、仲間たちと力をあわせて戦いを挑む冒険活劇作品だ。
不朽の名作として語り継がれる本作だが、そのエンディングの絶望的な内容もインパクトを残した。
エンディング曲、すぎうらよしひろさんが歌う「冒険者たちのバラード」をバックに、荒波のなかを進むガンバたちと彼らの前に立ちはだかる宿敵・ノロイの姿が重厚なタッチで描かれていく。
曲のなかでも数々の苦難を乗り越え、脅威であるノロイを倒すために進くガンバらの猛々しい様子が歌われているのだが、衝撃的なのはエンディング終盤……。
屍になってしまったガンバや仲間たちの姿を想像させるような歌詞の内容となっており、“もしかしたらガンバたちが志半ばで倒れ、敗北してしまったのでは?”と、なんとも不穏な気持ちになってしまう。
また、この歌詞が流れるエンディング終盤では、画面いっぱいに宿敵・ノロイの姿が描かれるのも印象的で、どこかバッドエンドを匂わせる演出の数々は、当時視聴していた子どもたちの不安を大いに掻き立てたことだろう。
ガンバたちの旅路が数々の苦難と絶望に満ちていることを存分に表現した、なんとも強烈なエンディングであった。