超人すぎる伝説の寿司職人!『将太の寿司』大年寺三郎太の“調理以外”の「凄すぎエピソード」の画像
週刊少年マガジンコミックス『将太の寿司』第25巻(講談社)

 1992年から『週刊少年マガジン』(講談社)にて連載された、読むとお寿司が食べたくなる名作漫画『将太の寿司』(寺沢大介氏)には、個性豊かな寿司職人が登場する。

 塩1粒の差を見抜く味覚の持ち主・佐治安人や、魚の鮮度を保つ針麻酔の使い手・切島傀など枚挙にいとまがないが、ずば抜けた個性を発揮しているのが「東北の竜」こと大年寺三郎太だ。

 大年寺の個性は、なんといってもケタ外れの体力にあるだろう。筋骨隆々の肉体から繰り出される身体能力を披露するたび、キャラからも読者からも「ヤバすぎる」と恐れられる男である。

 今回は、大年寺がその超人っぷりを遺憾なく発揮した“調理以外のエピソード”を紹介しよう。

■電車にひかれた翌日に完勝! 回復の秘訣は“休む”だけ

 大年寺の超人エピソードを語るならば「新人寿司職人コンクール全国大会」3回戦での電車事故は外せない。

 勝てば主人公の関口将太と勝負できる大事な試合を控えた大年寺。実力でいえば100%勝てる試合なのだが、相手が『将太の寿司』で何度も卑劣な妨害を仕掛けてきた「笹寿司」なのがまずかった。駅のホームで考え事をしていた大年寺は、笹寿司の刺客により線路内に突き落とされ、電車に轢かれてしまう。もはや寿司勝負でやることではない……。

 大年寺は辛くも一命をとりとめたが、絶対安静の大怪我に。“優勝候補の大年寺もさすがに不戦敗か……”誰もがそう思ったが、本人の闘志はまるで衰えていなかった。

 そして翌日の試合会場、そこには勝負に挑む大年寺の姿が! しかも体力と技術を必要とする「鮟鱇(あんこう)の吊るし切り」を傷だらけの体で敢行し、あん肝の握り寿司を仕上げる。そして審査員を大いに唸らせ、笹寿司をものともしない圧勝で見事4回戦へ駒を進めるのであった。

 なぜ大年寺は人身事故の翌日に寿司勝負ができたのか? 答えは画期的な治療法……などではなく、“じっと休んでいただけ”。呼吸を整え、肉体の隅々まで血流を巡らせるイメージを持ち、じっと体力の回復に努めたのだ。

 「そんなので治るわけないだろ!」とツッコミたいが、それが大年寺三郎太だからしょうがない。

■味のためならマラソンもやる! 35キロの距離を走破

 全国大会を勝ち上がり、念願の将太との対決が始まると大年寺はさらにパワフルになっていく。4回戦第3課題に「牛肉の寿司」を指定された大年寺は、りんごを食べて育てられた最上級の牛肉を手に入れる。

 考えうる最高の素材を入手した大年寺は、ある荒行を敢行する。それは「牛肉を探した兵庫県三田市から試合会場の明石市までマラソンで移動する」という途方もないものだった。その距離は作中で35キロといわれており、とてもじゃないが大事な試合前に走る距離ではない。

 原作では大年寺が渋滞の車道を駆け抜ける描写があるのだが、「これが大年寺だ……」としか言えない迫力がある。さらに会場に到着した際も息ひとつ切らさず、そのまま勝負を始めたのもさすがだ。

 大年寺がここまでした理由は、もちろん味のためである。彼はあらかじめ牛肉の棒寿司を作っておき、牛肉の上に昆布をのせ縄で包んでから35キロマラソンを決行した。すると走る振動で牛肉と酢飯がなじみ、味わいの一体感が増すというのだ。完璧な食材に満足せず、調理法にも細心の注意を払った大年寺は見事に「牛肉の寿司」対決を制した。

 それにしても、このやり方で本当に牛肉のお寿司は美味しくなるのだろうか? 35キロを走っても息ひとつ切らさない寿司職人が現実にいたら、ぜひ注文したいものだ。

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