ゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズの中でも屈指の名作として知られる『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』。11月14日にはHD-2Dグラフィックを採用した待望のリメイク版がいよいよ発売されるが、40代以上の人にとってはリアルタイムでプレイしたファミコン版の思い出が特に強いという人も多いだろう。
同作は、主人公が16歳になった日の朝、王様に挨拶に行くところから物語が始まる。そこで主人公の父親であるオルテガが、戦いの末に火山に落ちて命を落としたことが明かされる。そして、王様から「そなたの父オルテガは勇敢な戦士であった」と伝えられた後に、魔王バラモスの討伐を命じられるのである。
少ないセリフながら、勇者は冒険の先々で父オルテガの旅路を辿ることになるが、その全貌は謎の部分が多い。その「謎」を考えることで、『ドラクエ3』そしてオルテガの物語が少しずつ見えてくるなんてこともあるのではないだろうか。今回は、そんなオルテガの「謎」に迫ってみたい。
なお、HD-2D版『ドラクエ3』では、ファミコン版での「カンダタ」と色違いの覆面姿のグラフィックから大きく変更。またリメイク版では、これまで語られることのなかったオルテガの旅についての新規エピソードが追加されているという。今回の記事はあくまでもファミコン版『3』での考察としてお楽しみいただきたい。
■オルテガは鍵なしでどうやって旅をしていたのか?
まず、そもそもオルテガは「鍵なし」でどうやって旅をしていたのかということ。
アリアハンから先に進むにはまず「とうぞくのかぎ」を手に入れる必要があるし、それ以外にも勇者は「まほうのかぎ」や「さいごのかぎ」といったアイテムがないと開けることができない扉が世界中にある。
一つの仮説としては、オルテガが旅に出発した十数年前の頃はまだ世界の鍵はかかっておらず、魔王バラモスが本格的に世界を支配しはじめた頃に、各地の人々が鍵をかけることで魔王軍の攻撃から身を守るようになっていったのではないかというものだ。
つまり、オルテガが旅立った十数年前はまだ魔王軍の攻撃がそこまで激しくなく、鍵がなくても先に進めることができたのではないかというのが一つの考えである。
また、オルテガ自身が物凄い怪力で、鍵がかかっている扉をこじ開けることができたという可能性もなくはない。これは『ドラクエ4』のオーリンでも可能だったことなので、オルテガのような筋骨隆々のたくましい戦士であれば十分考えられる。
ほかにも、世界には別の鍵があってそれを手に入れていた説や、「アバカム」の呪文を習得していた説も考えられるかもしれない。
■オルテガはどうやってアレフガルドに行ったのか?
第二の疑問として、そもそもなぜオルテガはアレフガルドにいたのだろうか。
主人公たちがアレフガルドに行くには、不死鳥ラーミアを復活させ、ギアガの大穴から落ちる必要がある。当然オルテガはラーミアを復活させてはいない。
そうなると空を飛んでいかないと到達できないギアガの大穴にどうやって到達したのか。
一つの仮説を立ててみる。主人公たちは基本的に4人パーティであったから比較的安全策をとった旅をすることを選択していたのだと思う。
たとえば、筋骨隆々な戦士1人であれば十分に泳いで渡れるような川や海であっても、僧侶や魔法使いはそこまでの体力はないため、4人揃って泳いで行くことはできない。となれば他の方法を模索するしかない。……といった形で様々な方法を考えた結果、主人公たちは「不死鳥ラーミアを復活させ、空からギアガの大穴に行く」という手段が最適であると判断したのだろう。
それに比べ、父・オルテガの冒険は一人旅だった。自分一人さえ泳いでいくことができるのであれば泳いで行っただろうし、岩山に囲まれていて普通の人であれば行くことができなかったネクロゴンドなどにも、岩山を乗り越えて辿り着いたに違いない。