『ONE PIECE(ワンピース)』の作中には、いまだ謎に包まれた部分がたくさん存在する。たとえば“黒ひげ”こと「マーシャル・D・ティーチ」も謎の多い人物だ。
懸賞金ゼロから王下七武海にのし上がり、ついに四皇の一角に君臨するなど、不気味ながらその勢いを落とすことはない。
彼に関してもさまざまな噂が飛び交っており、かつて“世界最強の海賊”とうたわれたロックス海賊団の船長「ロックス・D・ジーベック」との関係もそのひとつ。
今回は「海賊船の名前」「拠点とする島」、さらにはその「野望」に至るまで、いろいろな面で奇妙な一致が見られるふたりの共通点について深堀りしていこう。
■黒ひげ海賊団の海賊船名に注目!
黒ひげとロックスについて、もっとも分かりやすいつながりが「黒ひげ海賊団」の海賊船名だ。その名前を「サーベル・オブ・ジーベック号」という。
登場する海賊船の船名には、その海賊団を象徴するものや、彼らの願いなどが込められていることが多い。たとえば麦わらの一味の船「サウザンドサニー号」なら、製作者のひとりであるアイスバーグが「過酷なる“千の海”を“太陽”のように陽気に越えていく船」という意味で命名したものだ。
それを踏まえて、黒ひげの船「サーベル・オブ・ジーベック」を直訳すると、「ジーベックの剣」となる。
「ジーベック」という名称は、現在のところロックスの本名以外には登場しない。これは黒ひげとロックスのつながりを示唆している可能性もあり、意図的に名づけられたと考えるのが自然だろう。
ちなみに生前のロックスの宿敵だったのは、のちの海賊王「ゴール・D・ロジャー」だ。そして、そのロジャーに似た面影を持つといわれているのがルフィである。
ロックスと関係がありそうな黒ひげと、ロジャーの面影があるルフィ。このふたりは、ジャヤの酒場で「チェリーパイ」と「ドリンク」で張り合った一件のように、対照的に描かれることが多い。この構図は、作者の尾田栄一郎氏が意図したものなのだろうか。
■ロックス海賊団結成の地が、黒ひげの本拠地に
四皇となった黒ひげは、現在海賊島「ハチノス」を拠点にしている。四皇ともなれば島全体を拠点とする者も存在し、ビッグ・マムなら「ホールケーキアイランド」、カイドウなら「ワノ国」を拠点にしていた。
しかし、黒ひげが拠点とする「ハチノス」は単なる島ではない。かつてロックス・D・ジーベックが、ひとつの儲け話のために無法者を集めた場所であり、ロックス海賊団を結成した地でもあるのだ。
ロックスの死後、ハチノスは元ロックス海賊団の船員である「王直」が取り仕切っていた。だが、トラファルガー・ローやコビーらが関与した「ロッキーポート事件」で黒ひげが王直を倒し、海賊島のボスになったことが分かっている。
自身の海賊船に「ジーベック」と名づけ、わざわざロックス海賊団の縁の地であるハチノスを本拠地にした以上、ロックスと黒ひげの間には何らかのつながりがありそうだ。