■世界最強の剣士と元七武海を配下に置く驚異のカリスマ…?
バギーが四皇となった最後の一押しは、犯罪組織「クロスギルド」の立ち上げだ。正義を守る海兵に懸賞金をかける前代未聞の事業を展開し、実際に被害を受ける海兵が続出している。
さらにクロスギルドの幹部には、世界最強の剣士“鷹の目”ジュラキュール・ミホークと元七武海サー・クロコダイルが加わっている。秩序を根本から揺るがす危険性と、世界有数の無法者を従えるカリスマ性によって、バギーは四皇に認定されたわけだ。
もちろん、実情はまったく異なる。クロスギルドはクロコダイルの主導で立ちあげた組織であり、バギーは成り行きで加わったにすぎない。しかし、バギーを崇拝するクルーが、トップはバギーで他2人は配下にしか見えない宣伝ビラを世界中に配ってしまい、その結果「クロスギルドの首謀者はバギー」と世間が誤解したのだ。
気づけば配下にされた2人は大激怒。バギーは制裁され、いつでも排除できるかりそめのトップに追いやられてケジメとなった。
外から海軍に狙われ、内からはクロコダイルとミホークに責められる立場にされたバギー。ほとんど自業自得とはいえ、さすがにかわいそうかもしれない。
バギーには“千両道化”という異名がある。周囲の勘違いや思いがけぬ偶然で身の丈に合わない出生をくり返し、その度に笑ったり泣いたり慌てふためくサマは、まさにピエロそのものだ。
しかし、バギーはその役割を良しとしていない。原作第1082話では、ミホークとクロコダイルに殺されかけながらも「だったら゛おれ゛が!!「海賊王」になり゛てェ!!!」と夢を叫び、“ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”獲りを宣言した。運命のいたずらであろうと、バギーが四皇までのし上がった理由が垣間見える名シーンだ。
はたしてバギーはピエロのまま終わるのか、海賊王として本物になるのか。『ONE PIECE』において、今後の動向からもっとも目が離せない男の一人だ。