小野賢章が語る、声優業のシビアさ「“終わったな”と思ってしまうこともあって(笑)」演じたキャラから学ぶ向上心の大切さの画像
写真提供/小野賢章

「お兄さん、私とパーティーを組みませんか?」――。アニメ『パーティーから追放されたその治癒師、実は最強につき』(テレビ朝日系ほか )が現在、オンエア中だ。過去のパーティーで無能扱いされ、追放された治癒師ラウストが、過去に因縁があった少女ナルセーナに背中を押されて冒険に踏み出す。これまでの逆境から這い上がり、自らの地位を確立していく姿が丁寧に描かれている。

本作で主人公ラウストを演じているのが小野賢章さんだ。幼いころから役者として活動し、声優としても数多くの名作に登場している彼に、ラウストに共感するところをたずねた。【第1回/全4回】

主人公・ラウストの第一印象

――小野さんは『パーティーから追放されたその治癒師、実は最強につき』でラウスト役を演じられていますが、この人物にどんな印象を抱かれていたのでしょうか。

小野 僕が演じているラウストは、ヒール(初期の回復魔法)しか使えない治癒師で、まわりの冒険者たちに対して劣等感を感じている主人公です。でも、夢を諦めきれない。パーティーの一員になってダンジョンで活躍するという、やりたいことに自分の実力が追い付いていないことへの葛藤があるんです。とくに序盤はその葛藤を描くシーンが多かったので、そこを意識しながら演じていましたね。

――ラウストを演じるにあたり、実力が発揮できない葛藤の部分を大事にされていったんですね。

小野 でも、ラウストはポジティブなんですよ。パーティーから一度追放になったとしても、冒険をあきらめるわけでもないし、新しいパーティーを探してもう一回やろうとする。まわりの人から「パーティーをクビになった人」というレッテルを貼られて、「あいつはやっぱり向いていないんだ」という厳しい目で見られていたとしても、彼は気にしていない。そういう一面を意識した役作りをしています。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4