小野賢章さんが主人公・ラウストに共感する部分は

――ラウストのポジティブな一面は小野さんのお芝居によって明るく表現されていて、とても魅力的な人物として表現されていると思います。小野さんが、ラウストに共感を抱く部分はどんなところですか。

小野 ラウストは治癒師としての能力は低いということを自分で把握していて、その代わりにフィジカルを鍛えようと訓練したりする。自分のことや、自分が置かれている状況をしっかりと俯瞰で見ているんですよね。そういうところは共感というか、尊敬できるなと思います。僕も、いつもなるべく自分自身を俯瞰で見ようと思っていて、自分のお芝居であるとか、普段の生活で反省ばかりしています。

 あのときこうすればよかったなとか、現在の状況を変えるためにどうしたらいいかな、とか……いろいろと考えてしまうんです。ラウストの場合は、そういう反省点を克服するために行動して強くなっているんですよね。たとえば、パーティーのみんなのために活躍するには、自分のどの能力を伸ばしていけばいいかを常に考えながら行動している。特訓をしているところを見ると感心するし、それが自分もできたらいいなって思います。

――小野さんの向上心を刺激する存在が、ラウストなんですね。

小野 でも、なかなか変わるのって難しいじゃないですか。やっぱり自分にとって居心地が良いから、そういうかたちになっていくわけなので。人格形成もふくめて変えることって相当ストレスだと思うんですよね。なかなか、自分を変えるのは難しいです。

――自分を変えることが難しいけれど、よりよくあるためには変えなくちゃいけない。

小野 常に何かに悩んではいますね(笑)。やっぱりいろいろな役者さんがいて、いろいろな表現方法があるので、自分ができない表現方法をやっている役者さんと共演すると、すごく悩みますね。隣の芝生は青いというか、自分にないものを持っている人ってよく見えるじゃないですか。それが毎日起きているんです。

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