■子牛が売られていく様子が哀愁を誘う『ドナドナ』
1966年に放送された『ドナドナ』は、売られていく子牛の様子を歌った曲だ。元はウクライナ出身の作曲家、ショロム・セクンダさんが作曲した『ドナドナ』(原曲は『Dana Dana(ダナダナ)』)である。
『みんなのうた』で放送されたのは、作詞家の安井かずみさんが訳詞をつけたバージョンで、清々しい風景とは裏腹に、牧場から市場へ向かう子牛の悲しげな様子が心に残る童謡となっている。
イラストは可愛らしいタッチだが、荷台に乗せられた子牛にウサギなどほかの動物たちが寄り添うシーンや、切なげに正面を見据える子牛の姿に胸がぎゅっと掴まれてしまう。物悲しいメロディーと伸びやかで深みのある岸洋子さんの歌声も相まって、哀愁を誘う曲だ。
筆者も幼少期に耳なじみのいいサビの歌詞を口ずさんでいたが、歌詞の意味を理解してからはより一層、子牛が愛しく思えてなんとも切ない気持ちになってしまう。
■子どもたちの元気な歌声が響く!『動物園へ行こう』
1975年に放送された『動物園へ行こう』は、かまやつひろし(ムッシュかまやつ)さんと東映児童劇団の子どもたちの元気な歌声が楽しい一曲だった。
アメリカのシンガーソングライターであるトム・パクストンさんの曲に、作詞家の海野洋司さんが訳詞をつけたこの曲は、7番まで存在するという超大作だ。
動物園へワクワクしながら向かう様子から始まり、ゾウやサル、クジャクやパンダなどさまざまな動物たちが歌詞に登場。6番では、すっかりくたびれてしまった子どもの様子が歌われており、そんなコミカルさも魅力だ。
サビに使われている「Zoo(動物園)」という単語は小さな子どもでも一緒に歌えることもあり、今でも幼稚園や保育園でも親しまれているようだ。ぜひフルバージョンで聞いてみてほしい名曲である。
誰もが一度は聞いたことのある童謡の名曲たち。海外で作られた曲に詞を乗せ、子どもたちにもわかりやすい童謡として『みんなのうた』で放送されることも多かった。
幼稚園や保育園でも何度も歌われてきた名曲たちは、自分たちの子ども、そしてその子どもたちと世代をこえて歌い継がれていくのだろう。