■世界政府が「伝説の悪魔の実」を放置したワケ

 ゴムゴムの実こと「ヒトヒトの実 幻獣種 モデル“ニカ”」。この実の真実が明らかになったのは、ワノ国編におけるルフィと四皇カイドウの一騎打ちにて、ルフィが覚醒した時である。

 ゴムゴムの実は、世界政府が800年も前から追い続けながら、その手中に収まらなかった実だ。五老星は「まるで悪魔の実が我々から逃げている様だ」と語り、動物系の実には意思が宿るということも明かされた。

 そこまで求めた実ならば、体がゴムのように伸びる能力者が現れた時点で、何があろうとも捕縛するのが筋だろう。それこそ海軍本部における最高戦力の「海軍大将」を投入してもいい。

 それを世界政府が“あえて”しなかったのだとすれば、実の能力が覚醒することや、そこから導き出される「空白の100年」をはじめとする世界の真実が世に出ることを危惧したのかもしれない。

 悪魔の実が覚醒する現象は、極めて稀なことである。ドフラミンゴやカタクリなど、王下七武海や四皇幹部クラス以上の実力者でなければ、まず発現しないと考えられる。

 過去に政府がどれだけ捕まえようとしても無理だったのならば、覚醒に至る前にルフィが死ねばよし、頭角を現して覚醒に近づいたなら、その段階で全力で討つという選択もありうる。

 ルフィが並の海賊として埋もれるなら、覚醒してニカの能力を振るうことはなく、人目につく危険性もない。世界政府にとって、ややリスクは残るが現実的な作戦と言えなくもないだろう。

■シャンクスによる根回しの可能性は?

 ルフィと悪魔の実を結びつけた人物は、赤髪海賊団の「シャンクス」である。

 そもそもルフィが悪魔の実を口にしたのは、シャンクスが敵船から奪った「ゴムゴムの実」を手元に置いていたことが原因だ。そしてその敵船というのは、ただの海賊ではなく、世界政府の諜報機関「CPー9」が護衛についた政府の護送船だった。

 当初、シャンクスは勝手に食べたルフィを叱ったが、利き腕を犠牲にしてまでルフィを守り、彼が海賊になってからも動向を見守り、成長を喜んでいる。

 加えて、カイドウ戦後に新たな四皇となった“覚醒状態”のルフィの手配書を見た時、シャンクスは「これが……」という言葉をこぼした。まるで「ゴムゴムの実」の重要性や、ニカ化することをあらかじめ知っていたようにも見えるシーンだ。

 そこで気になるのが、第907話にて五老星とシャンクスらしき人物が秘密裏に接触していたシーンだ。その人物は「ある海賊」について話があるとして、世界会議が行われている最中のパンゲア城を訪れていた。

 シャンクスらしき人物が言った「ある海賊」が誰を指しているのか、現在も謎のままだ。しかし、前後の流れから考えると、ルフィのことを指していても不思議ではない。

 当該人物がシャンクス本人なのか、よく似た人物なのかは明らかになっておらず、またシャンクスは天竜人のフィガーランド家の出身とも言われている。

 実はゴムゴムの実の真実を知っていたシャンクスやフィガーランド家に連なる者が、ルフィを狙わないよう根回ししていた……なんてこともありうるのかもしれない。


 ワノ国編では「ゴムゴムの実」の真実が明らかになり、エッグヘッド編でもさまざまな謎が解き明かされた。そして、物語の大きなカギになりそうなのが、やはりルフィの「悪魔の実」の力だ。

 ひとつの悪魔の実を食べた少年が大きく飛躍し、世界中が注目する存在にまで駆け上がった背景には、どのような謎が隠されているのだろうか。今後の展開に注目したい。

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