■プレイ時間によって見た目が変化!
「年齢」という概念をファミコンRPGに取り込んだのが、1987年に発売された『桃太郎伝説』(ハドソン)だ。同作では2時間プレイするごとにゲーム内の桃太郎が1つ歳をとるシステムが導入されている。
「つよさ」の画面に登場する桃太郎の姿は、加齢とともにグラフィックが変化。幼い桃太郎はやがて少年になり、青年、老人へと変化していく。
そして加齢によるゲーム攻略への影響は「とくにない」というのも面白い。年齢が上がっても桃太郎のステータスが増減するわけではないのだ。
では、何のためにあるのかというと、実は「女湯イベント」を見るためだけに存在する。桃太郎が8歳以下の時は、ある街の女湯に入れるという特別なイベントが発生するのだ。
子どもながらにドキドキしたプレイヤーも多かったはずだが、限りあるファミコンの容量で、ゲーム本編とはほぼ関係ないシステムを導入するあたりに開発者の遊び心を感じる。
なお、RPGにおける「加齢」のシステムは、いろいろとかたちを変え、後の作品に受け継がれていった。『ロマンシング サ・ガ2』や『俺の屍を越えてゆけ』ではキャラクターが寿命を迎え、世代交代することでストーリーが展開する。
ファミコン時代の作品は容量の関係で、現在のゲームほど多彩な表現やシステムを導入できなかった。当時は『ドラクエ』に似たRPGが世間にあふれるなか、少しでも独自色を打ち出そうと苦心した結果、このような個性的なシステムの導入につながったのかもしれない。