日本におけるRPGの火付け役といえば、1986年にファミコンソフトとして登場した『ドラゴンクエスト』(エニックス)だろう。この『ドラクエ』の大ヒットを受けて、当時のファミコンには数多くのRPGが誕生することになる。
『ドラクエ』のゲームシステムをそのまま踏襲したタイトルが多いなか、一部のRPGには『ドラクエ』にはなかった珍しいシステムを採り入れるものもあった。
そこで今回は『ドラクエ』以外のファミコンRPGに見た、当時のファミコンキッズにとって新鮮に感じられたゲームシステムを振り返っていきたい。
■装備品にまつわる画期的システムを採用
最初に紹介するのは、1987年に発売された『闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光』(データイースト)。本作を第1作目として、ナンバリングタイトルと外伝作品をあわせて計6作が発売された人気シリーズだ。
基本的にはドラクエライクなRPGだが、当時としては珍しい、ドラクエにはなかったシステムが採用されている。
それが「装備の耐久度」システム。武器と防具に耐久力が設定され、耐久がゼロになると壊れてロストするというもの。
昨今のゲームではわりと一般的になり、『ファイナルファンタジー14』(スクウェア・エニックス)や『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(任天堂)などでも見られるシステムだ。
『ヘラクレスの栄光』では、武器や防具が完全に壊れる前に鍛冶屋に持っていくと耐久力を回復できるのだが、その都度店を訪れるのはなかなか面倒。それを開発側も分かっていたのか、鍛冶屋を雇うことで戦闘後に自動で耐久力が最大まで回復することができた。
ちなみに、雇える鍛冶屋のヘパイトスは道具と同じ扱いで、道具屋に売却できる仕様だった。さらに言うと、鍛冶屋のヘパイトスのモデルはギリシア神話における「鍛冶の神」だ。神さまを売買する様子は、今考えるとシュールである。
■「仲間」とは別の成長を遂げる貴重なキャラ!
1987年発売の『ミネルバトンサーガ ラゴンの復活』(タイトー)にも画期的なアイデアが導入され、ほかのファミコンRPGとの差別化を図ることに成功している。
その象徴的なシステムが「傭兵」だ。同作は主人公を含めて3人のパーティで冒険を進めるが、それ以外に5人まで傭兵を雇うことが可能。傭兵は、戦闘中に呼び出して戦わせることができる。
傭兵の操作は完全にオートで、死亡すると二度と生き返らない。
しかし、傭兵もレベルが上がっていくため、仲間とは別の成長要素が楽しめるのだ。しかも成長すると「けんし」から「せんし」のようにクラスアップし、次は何になるのかとワクワクさせられた。
ちなみに『ミネルバトンサーガ』は、『ドラクエ3』や『ファイナルファンタジー1』に先駆けて、バッテリーバックアップ機能が採用されたソフトとしても知られている。