■お店を飾る「建造物」にも驚きの逸品が!?
お菓子を並べる棚や座席などを増やして、どんどんお店を魅力的に発展させるのも楽しい要素です。
しかもゲームを進めていくと、『のび太の大魔境』の巨神像や『のび太と鉄人兵団』のザンダクロス、SF短編漫画『鉄人をひろったよ』の巨大ロボ(鉄人)など、いろんな作品に登場した巨大立体物まで建造できます。ここまでマニアックなラインナップをそろえるなら、『ドラえもん』に登場した「建設巨神イエオン」も欲しかったと思ったのは筆者だけでしょうか。
また、ドラえもんのひみつ道具「お座敷つりぼり」や「箱庭スキー場」、「重力ペンキ」をモチーフにした部屋なども作れます。そんななか、もっとも本作らしいアイテムは、藤子・F・不二雄先生の机をモチーフにした「F先生の机」かもしれません。
■映画の感動シーンをゲームで再現!
さらに建設物には、特定の条件を満たすことで特殊なイベントが発生します。不覚にも筆者がウルッときたのは、映画『のび太の恐竜』に登場する「ピー助」にまつわるイベントです。
のび太が探索で拾ってきた「なぞの石」にひみつ道具を使うと、「フタバスズキリュウ」のピー助が誕生するという内容です。
原作では、大きく成長したピー助との感動的な別れのシーンが忘れられませんが、同作では敷地内に水場を作ることで、いつまでも一緒にいられます。まさに“グウ”の音もでないほどの嬉しい展開です。
このほかにも、映画『のび太と雲の王国』で、のび太と仲良くなった「キー坊」も登場。原作では別の星に旅立ちましたが、本作ではそのキー坊がお客さんとなって帰ってくるという素敵な演出もありました。
■原作に沿った「キャラ変」事情
実はこのゲームには『ドラえもん』だけでなく、藤子・F・不二雄先生の56作品から、86人のキャラクターがお客さんとして登場します。そして特定のアイテムを渡すことで、キャラクターの姿が変わる原作再現も見どころのひとつです。
たとえば、ジャイ子に漫画をプレゼントすると「クリスチーネ剛田」になります。これは原作で少女漫画家としてデビューを果たすジャイ子のペンネームです。ほかにも須羽ミツ夫やブービー、星野スミレに「パーマンセット」を渡すと、パーマンになって空を飛べるようになります。
そんななかで個人的に一番グッときたのは、キテレツに「奇天烈大百科」をプレゼントすると、コロ助が誕生するというイベントですね。やっぱり、この二人は一緒にいてこそだと思います。
ちなみに、新たなキャラが増えていくきっかけも原作準拠になっていて、たとえば『キテレツ大百科』のコロ助がいる状態なら「勉三さん」がお客さんになり、『パーマン』のブービーがいる状態なら、大山法善(パーやん)が新たなお客さんになるといった、原作内での関係性が表現されています。
今回は『ドラえもん』を中心に、『ドラえもんのどら焼き屋さん物語』の「原作愛ネタ」を振り返ってきました。もちろん、これはほんの一部でしかなく、まだまだたくさんあります。むしろ、『ドラえもん』以外のネタのほうが、すごいかもしれません。
先述の通り、本作には藤子・F・不二雄先生の56作品のキャラが登場します。『パーマン』『キテレツ大百科』『エスパー魔美』といった有名作から、「えっ、こんな作品知らなかった」というようなマニアックな作品まで網羅されているのです。筆者が生まれる前の作品まで含まれていて、「いっそ藤子・F・不二雄全集に手を出すか……いやちょっとお高いな?」「でも……」などと葛藤してしまうほどでした。
もちろん『ドラえもん』しか知らないという人にも十分楽しめる内容なので、遊んでいるうちに未知の藤子F作品が読んでみたくなる、そんなゲームと言えるかもしれません。