■誰もが嫌う人物の下で忠実に職務を全うした帝国軍フェルナー

 銀河帝国軍のアントン・フェルナーも隠れた有能キャラといえるだろう。同盟軍の帝国侵攻作戦が失敗した後、銀河帝国の皇帝が崩御し、その後継者を巡って門閥貴族とラインハルトらが争う大規模な内乱が発生することになる。

 そんな中、本編開始時に門閥貴族軍側にいたフェルナーは「内乱が長引けば帝国に大きな損害が出る。ラインハルトを暗殺すれば内乱は回避される」と考え、独断で暗殺作戦を実行するのである。

 しかし、作戦はラインハルトに見抜かれて失敗。

 するとフェルナーはすぐに仰ぐ旗を変え、ラインハルト側につくのである。作戦が失敗した以上、門閥貴族軍に勝ち目がないとの判断によるものであり、結果的にそれは正しい。

 ラインハルトからは「ぬけぬけと言う奴だな」と皮肉られながらも、正論を言い過ぎることから帝国軍の中でも他提督たちに嫌われている総参謀長のパウル・フォン・オーベルシュタインの部下として配属される。

 だが、フェルナーは、その嫌われ者の下で嫌がることなく、忠実に指示に従い、期待を裏切ることなく業務を遂行していった。

 戦場で艦隊を指揮することがなかったが、謀略や治安維持などにその才能を発揮した。

 また、他者から嫌われることの多かった上官のオーベルシュタインの考えをかなり深く理解していたことから、オーベルシュタインと他の帝国軍提督たちとの潤滑油のような役割をこなしていた。表向きこそ目立つキャラではないものの、彼もまた帝国を支えたかなり有能な人物であると言えるだろう。

■しゃべらなくても艦隊司令官? アイゼナッハ

 門閥貴族との戦いに勝利したラインハルトの旗下に新たに加わったエルンスト・フォン・アイゼナッハ。彼は帝国軍でもかなり個性の強いキャラである。

 極端に無口であることから「沈黙提督」との異名をとる彼だが、無口を通り越してもはや「何もしゃべらない人」と言ったほうがいいレベルである。作中で彼が明確に発言したのは「チェックメイト」という一言だけなのだから、その無口ぶりはいい意味で変人だ。

 彼が艦隊を指揮する様子はアニメでも描写されているが、腕を動かしたり指を鳴らしたり、まるで野球のブロックサインのような合図で指揮をとるのである。

 まったく何もしゃべらずに1万隻を超える艦隊の司令官を務めることができること自体、ありえないレベルの有能さである。

 しかも、帝国軍の他の提督の多くは戦いで同盟軍に敗れたり苦戦するシーンの描写があるが、彼は無口であるせいか、ちょっと顔を歪めるぐらいで、ほとんど苦戦らしい苦戦はしていない。

 基本的にしゃべらないので地味なキャラに見えるが、何もしゃべらずに艦隊司令官として戦果を挙げているわけだから、有能を通り越して“超有能”な人物といえるだろう。

 以上、ちょっと地味であまり目立たないが有能と思われるキャラを紹介してきた。ラインハルトもヤンも有能な人材を見出すことには定評があった。他にも日の目を見ない有能な人材がまだたくさんいるかもしれない。

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