さだまさし『魔法のピンク』に中西圭三『ぼよよん行進曲』も…放送65周年『おかあさんといっしょ』著名アーティストが手掛けた「神曲」の画像
『おかあさんといっしょ』NHK公式ホームページより

 1959年10月に放送が始まったNHK『おかあさんといっしょ』は、時代を超えて愛され続ける長寿番組だ。筆者には3人の子どもがいるが、それぞれ“歌のお兄さん&お姉さん”にお世話になったものである。普段は騒がしい幼児期の我が子たちだが、この番組が始まると夢中になって見入ってくれるので、家事がはかどったものだ。

 『おかあさんといっしょ』の魅力はたくさんあるが、なんといっても登場する楽曲が素晴らしい。なかには著名アーティストが手掛けた「神曲」もあるので、振り返っていきたい。

■みんな元気になれる! 中西圭三さんの『ぼよよん行進曲』

 まずは、ZOO、EXILEの『Choo Choo TRAIN』、ブラックビスケッツの『Timing』など、数々のヒット曲の提供者としても知られる中西圭三さんが手がけた『ぼよよん行進曲』だ。

 発表されたのは2006年。今井ゆうぞうさんとはいだしょうこさんの時代からの楽曲だが、今では『おかあさんといっしょ』では定番ソングといえるほどの神曲だ。

 印象的だったのが、2008年5月、だいすけお兄さんとたくみお姉さんの記念すべき初めてのファミリーコンサート「ともだち はじめて はじめまして!」でのこと。

 2人が魔女メタラを相手にピンチを迎えた際、「ちょっと待ったぁ!」の声とともにこの曲のイントロが流れ、ゆうぞうお兄さんとしょうこお姉さんが登場。そのあと「ぐ〜チョコランタン」たちも含め、みんなで歌ったシーンがある。

 DVD越しでも、会場が大盛り上がりなのが見て取れた。我が家ももちろん、テンションマックスだ。軽快なテンポとワクワクするようなメロディが心地良い。歌詞は子どもたちを応援する内容なのだが、大人もグッときてしまう。落ち込みそうなときに聴くと元気をもらえる曲である。

 そしてこの『ぼよよん行進曲』には、実は知る人ぞ知る「2番」がある。2013年に番組で披露されて、2014年リリースのCDに「ロングバージョン」として収録。その後も稀に歌われることがある「レア曲」として知られている。素晴らしい歌詞なので、未視聴の人はぜひチェックしてみていただきたい。

 この『ぼよよん行進曲』は、先日も放送65年を記念したスペシャルプログラムのなかでも紹介され、今は亡きゆうぞうお兄さんの歌声が伸びやかに響き渡っていた。当時を思い出し、番組に見入ってしまった視聴者は多いだろう。

 ちなみに、中西さんといえば、あの当時は『ぱわわぷたいそう』を歌っていた人というイメージも強い。番組のラストで小林よしひさお兄さんが体操をするとき、長男と長女が一緒になって飛び跳ね、中西さんの歌う高音域のメロディを一緒になって歌ったものだ。

■たくみお姉さんが可愛さマックスだった…さだまさしさんの『魔法のピンク』

 そして、だいすけお兄さんとたくみお姉さんの時代に発表された『魔法のピンク』。ゆっくりなテンポで優しい曲なのだが、「ぱぴぷぺぽ」を使った早口言葉のような歌詞も特徴的だった。たくみお姉さんがメインで歌っているとき、長女が一緒になって指をタクトのように振りながら歌っていたのが懐かしく思い出される。

 笑顔も含めて優しそうな雰囲気が印象的だったたくみお姉さん。歌い方があまりに可愛くて、子どもたちはみんな夢中だった。そして、この曲で魔法をかけられたお父さんたちも多かったことだろう。(高校生になった今の長女が読んだら怪訝な顔をされてしまいそうだが……)

 そして実はこの歌、“変顔”がポイントでもある。だいすけお兄さんとたくみお姉さんが一緒にサビで変顔を披露するのだが、これを子どもたちが一生懸命真似していて楽しかった。

 この『魔法のピンク』の作詞作曲者は、『関白宣言』や『秋桜』などで知られるさだまさしさんだ。『おかあさんといっしょ』への楽曲提供というイメージがまったくなかったので、この事実を知った時には驚いてしまった。

 子どもが楽しみ、大人がほっこりする神曲を作るなんてさすがだと言わざるを得ない。ちなみにさださんは、2024年10月のうた『たからもの』の楽曲提供もおこなっている。

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