RPGにおけるラストダンジョンは、長い冒険の最後の関門として、プレイヤーの前に立ちはだかる。
攻略するのに数時間はかかるのに、内部にセーブポイントがなかったファミコン版『ファイナルファンタジー3』のクリスタルタワー。最深部にいるラスボスとの戦闘前にセーブすると戻れなくなる『ロマンシングサ・ガ2』など、さまざまな理由で記憶に残るラストダンジョンはたくさんある。
難易度の高さ、象徴的なギミック、風景の美しさなど……個人的に印象に残ったスーパーファミコンRPGのラストダンジョンを振り返ってみよう。
■真・四魔貴族の演出が神がかっている『ロマンシングサ・ガ3』アビス
まずは『ロマンシングサ・ガ3』のラストダンジョンである「アビス」から。アビスは、プレイヤーのいる世界とは別の異世界で、アビスゲートでつながっていた。
このアビス自体はそこまで複雑なダンジョンではなく、ラスボスの「破壊するもの」に通じるゲートと、四魔貴族の本体がいるゲートが存在する、比較的シンプルな構造になっている。
ただし、一度アビスに突入すると、もう後戻りすることはできない。そのためセーブした場所やタイミング、所持した装備品次第では、ボスを倒せずに詰んでしまう危険性もあった。
とはいえ、ここには無料で回復できる場所が用意されていた。戦闘を繰り返していろいろな技を閃き、時間をかけて地道に自キャラを強化することも不可能ではなかった。
そして、なんといってもアビスが印象深いのは、四魔貴族の本体(通称:真・四魔貴族)がいる点だろう。先に戦った四魔貴族の幻影とは見た目が異なり、人間に近い姿が見られるのが特徴。また、戦闘BGMも幻影時とは別のものが流れる。
何も知らずにアビスを訪れたときは、ラスボスの圧倒的な強さに絶望し、四魔貴族を倒して弱体化させるというギミックに衝撃を受けた、忘れられないダンジョンだ。
■主人公が無機質なロボットに… 『マザー2』過去の最低国
『MOTHER2 ギーグの逆襲』のラストダンジョン「最低国」も、一度足を踏み入れたら戻ることはできないのが特徴(回復やセーブができる拠点はある)。
このラストダンジョンで印象的だったのは、やはり衝撃のストーリー展開ではないだろうか。過去の最低国に行くには肉体を捨てなければならず、主人公たちはおなじみの少年の姿から、無機質なロボットの姿に変わってしまうのだ。
たどり着いたラストダンジョン自体も、色がなく、白いモヤに包まれた不気味な世界。どこか無機質で、不安をかき立てるようなBGMも耳に残る、うす気味の悪いエリアだった。