『ガンダム』シリーズの大半は戦争が舞台になっており、迫力あふれるモビルスーツ戦や、両軍入り混じった複雑な人間模様を中心に描かれている。
劇中で展開される人間ドラマの部分は作品の大きな魅力であり、戦争が生み出した悲哀や復讐劇などに心を動かされることも多い。
そして人間の負の部分に焦点を当てた愛憎劇も見逃せない要素だ。ゲスで非道な行動をとる男性キャラクターが登場するのはもちろんだが、なかには理不尽な態度をとったり、籠絡したり、裏切ったかのような行動をみせたりする、いわゆる「悪女」キャラもいた。
そこで今回は、ファンの間で「悪女」と呼ばれがちな女性キャラの問題行動を振り返ってみよう。
■清楚系・お姉さんヒロインがまさかの変貌…!?
ガンダム作品を代表する「悪女」として圧倒的な存在感を放つのが、『機動戦士Vガンダム』に登場した「カテジナ・ルース」だ。
物語序盤では戦争によって故郷を追われ、争いを否定する清楚で悲劇的な少女として描かれる。その後、ザンスカール帝国の軍隊「ベスパ」にさらわれた際は、囚われのヒロインポジションにつくのかと思われた。
しかし、このあたりからカテジナの様子が少しずつおかしくなっていく。カテジナと一緒にさらわれたオイ・ニュング伯爵は拷問を受けたあげくギロチンで処刑されたが、カテジナはベスパの軍人「クロノクル・アシャー」に特別な便宜を図られ、ベスパのパイロットとなった。
この段階では、文通友だちだったウッソらのいる組織「リガ・ミリティア」に戻ろうという意思も残っていたが、時が経つにつれてクロノクルと親密になっていき、いつしか完全にベスパの母体であるザンスカール帝国の一員として行動するようになる。
そして、パイロットとしての才能が開花すると、リガ・ミリティアや連邦軍のモビルスーツを容赦なく撃墜する女傑となった。
しかし、かねてより交流のあるウッソに対しての感情は複雑なようで、水着姿の女部隊をけしかけて精神的な攻撃をしかけたり、改心したと思わせてウッソの脇腹を刺すといった暴挙にも出た。
最初の頃の清楚なお姉さんのイメージはどこへやら、凶暴さやヒステリックさを隠そうともせず、そうかと思えばウッソに対して異様な執着を見せたカテジナ。そんな彼女の行動の多くは、視聴者にも理解不能だったが、シュラク隊やオデロを撃墜するなど、確実に悪いイメージだけは積み重ねていった。
いろんな悪女キャラがいるなか、一部のファンの間で「ガンダム三大悪女」と括られることもある。世代の違いによって、さまざまな作品のキャラが候補に挙がるが、カテジナだけはほぼ間違いなく含まれている印象だ。
どうしようもなくクズで、理不尽な行動ばかりみせた彼女だが、もはやそれすらカテジナの個性であり、いまだに語り継がれる理由なのかもしれない。