■まさかの正体が発覚…剣八とやちるの関係
斬魄刀の伏線は一護にまつわるものだけではない。護廷十三隊十一番隊隊長・更木剣八の斬魄刀にも多くの謎があり、物語終盤でその正体が明かされることとなる。
剣八の側には常に護廷十一番隊副隊長・草鹿やちるの存在があるが、彼女は何かと謎の多い存在だった。見た目は幼い非力な少女なのに、副隊長という地位に就いているのだ。言動も無邪気そのものだが、どう考えてもただ者ではない……。そんなやちるの正体が分かったのは、剣八が卍解を初披露したのがきっかけだ。
剣八が斬魄刀の力を解放して卍解をすると、なんとやちるが姿をくらませてしまう。あまりに唐突な展開に思えたが、これはやちるが「本来の姿」に戻ったということを表していた。
実はやちるの正体は、簡単に言えば剣八の斬魄刀が具象化した姿である。行方知れずになった後に剣八がピンチに陥ると、突如姿をあらわし「剣ちゃんがあたしをちゃんと使えば 剣ちゃんが斬れない奴なんていないんだから」と発言したことから、その事実が明らかになった。
この伏線についても、やちると剣八の出会いの場面で描かれている。幼いやちるは剣八に「…どっから来た ガキ」と尋ねられて、剣八が手にした刀に触れていた。それを見た剣八は「刀だぞ 怖くねえのか」と話していたが、やちるが自身の問いに答えていたのだとは夢にも思わなかっただろう……。もちろんそれは読者も同じはずだ。
出会った瞬間からやちるは、剣八を見守るようにずっと行動をともにしていた。きっと姿が消えてしまってからも、それは変わらないだろう。しかし、ふたりの固い絆を知っているからこそ、やちるが消え去ってしまったのは悲しかった。
■思わずシビれた!大紅蓮氷輪丸の秘密
最後は、日番谷冬獅郎の卍解である大紅蓮氷輪丸について。こちらの技は氷の華が一つずつ散ってしまうことによって、いかにも制限時間があると思われていた。
そう思ってしまった原因は、対戦相手となったシャウロンの解説のせいでもある。しかし、このことについて冬獅郎は特に何もコメントしていなかった。
そして千年血戦篇でのジェラルドとの大一番の戦いで、氷の華が散るとどうなるか明らかになる。なんとすべての華が散ると大紅蓮氷輪丸は完成形となり、桁違いの強さを得られるのだ。
ここで冬獅郎は「…氷の華が散り尽くしたら終わりだなんて… 言った憶えは無えぞ…」と語っていたので、シャウロンの見解は間違いだったというわけだ。これには読者だけではなく、仲間まですっかり騙されていた。
大事な局面で必殺技の伏線が回収され、逆転の一撃を放つことができたこの展開は、かなり胸熱だった。
『BLEACH』は、伏線を張ってから回収までに時間がかなり掛かっているケースも多い。そのため、本当にそんな風に描かれていた?と見返してしまうが、実際に読んでみるとちゃんと描写があるのだ。
アニメ放送を機に、改めて過去の内容を復習してみても面白いかもしれない。