『BLEACH』斬月のおっさんの正体や大紅蓮氷輪丸の秘密など…「まさかあれが伏線だったとは…」秀逸だった伏線回収の画像
『BLEACH 千年血戦篇』(C)久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsud・ぴえろ

 2024年10月5日から久保帯人氏による『BLEACH』(集英社)の千年血戦篇の続編が放映開始され、原作が連載終了してからも未だに熱が冷めることがなく盛り上がっている。

 本作には、個性豊かなキャラクターや迫力たっぷりのバトルシーンなど、数多くの魅力があるが、中でも注目したいのが伏線回収だ。物語序盤からあちこちに伏線が散りばめられており、その回収の仕方がお見事なのも話題になっているのである。

 そこで今回は、『BLEACH』のいくつかある伏線回収の中から特に秀逸なものを紹介していきたい。

※本記事には『BLEACH』の未アニメ化部分のネタバレが含まれています。アニメ派の方、気になる方はご注意ください。

■まさにどんでん返し…「斬月のおっさん」とは?

 まずは、主人公の黒崎一護が持つ斬魄刀に関する伏線回収から見ていこう。斬魄刀はただの刀ではなくそれ自体に自我があり、持ち主と意思を疎通しながら戦っているような感じである。

 一護の持つ斬魄刀は「斬月」と呼ばれ、一護は危機に陥った時には何度も、精神世界で中年の髭を生やした人物と対話をしている。一護はこの人物を「斬月のおっさん」と呼んでいて、初登場時からずっと謎めいた存在になっていた。

 そんな斬月のおっさんの正体が実はユーハバッハ(ただし厳密に言えば人格は別)だと明かされるきっかけになったのが、一護が滅却師(クインシー)の力を受け継いでいるという事実が判明した時だ。すべての滅却師の始祖であるユーハバッハは、一護の体の中にも宿っていたのである。

 つまり、序盤からずっと一護に語りかけて力を貸していたのは、ラスボスであるユーハバッハということだ。良き理解者だと思っていた存在が倒すべき相手だったとは、まさにどんでん返しである。

 それまで一護は死神と虚の力を兼ね備えているとしか思わなかったので、まさか滅却師まで関係していたとは予想もつかなかった……。

 この衝撃の事実が明かされた後、一護が斬月とした会話を振り返ってみたところ、斬月が滅却師であることは何となく匂わされていた。この展開は55巻から始まった千年血戦篇でのことなので、伏線回収までかなり長い道のりである。

■序盤から伏線は張られていた!黒崎一心の正体

 次は一護の父親である黒崎一心の正体だ。一心はいつも明るくふざけているただのギャグ要員かと思われたが、実は護廷十三隊で十番隊隊長を務めたほどの強さを持つ死神である。

 とある出来事がきっかけで死神の力を失っており、破面篇でそれを取り戻したためにその事実が明かされたが、それまでそんな素振りはまるでなかった。

 しかし、改造魂魄のコンが一護の中に入っていたとき、一心は一度もコンのことを「一護」と名前で呼んでいなかった。これについては一心自身が作中で自分の口から説明している。見た目は一護でも中身はそうではないと気づいていたために、あえて呼ばなかったのだ。

 そこからも一心が、普通の人には見えない死神や虚の存在に気づいていたとほのめかされていたことが分かる。すべてが明かされてから読み返してみると、伏線がずいぶん前から張られていたのに驚かされた。

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