■圧倒的実力差に震えた…世界一の殺し屋・桃白白との戦い

 圧倒的な実力を感じさせるように現れたのが、世界一の殺し屋の桃白白である。ベロだけでレッドリボン軍のブルー将軍を倒したり、自ら投げた石柱に飛び乗って高速移動したりと、何もかもが規格外すぎるので初登場時はずいぶんと驚かされた。

 そんな桃白白は殺し屋なので、殺人に躊躇いはない。ウパの父親・ボラが戦いを挑んだときにもあっさりと殺してしまった。

 その場面を見た悟空も、これまでにはない怒りの感情をぶつけて桃白白に向かっていく。しかし、彼の攻撃は桃白白にはまったく通用しなかった。かめはめ波すら効かず、逆にどどん波を食らって死んでしまったかと思わされたくらいだ。

 幸いドラゴンボールが懐に入っていたから助かったが、これは完敗といっていいほどの戦いだった。この時点では、何をしても悟空が桃白白に勝てる要素はなかったのだ。

 この戦いは、どんなに強くなっても敵わない圧倒的な敵の登場を定着させた一戦でもあるだろう。ピッコロ大魔王も同じような存在だといえる。

 大会で行われる試合だけではなく、こうした命のやり取りを経験することで、悟空はさらに強くなっていったのだ。

■勝負に勝って試合に負けた…天下一武道会での天津飯との決勝戦

 最後は第22回天下一武道会決勝戦での天津飯との試合だ。この戦いは鶴仙流と亀仙流の戦いでもあり、悟空にとっての新たなライバルの登場で大いに盛り上がった。

 この試合では、これまでにないほどの技の応酬となる。天津飯は排球拳、太陽拳、四妖拳、気功砲など、バラエティ豊かな技を出して悟空を圧倒した。

 しかし、悟空も負けてはいない。天津飯の技に対して打開策を見つけて対応してみせたのだ。こうなると、どちらが勝つのかまったく予想が出来なかった。

 勝負を決めたのは、悟空の逆かめはめ波による空中での頭突きの一撃。これによって天津飯は気絶して落ちていくのだが、舞空術の使えない悟空も同時に落ちていく。

 どちらかが先に地面に落ちたかで勝敗が決まることになり、やや悟空の方が有利と思われたがまさかの出来事が……。

 悟空は走行していた車に直撃し、一瞬だけ早く地面に体がついてしまったのだ。そのせいで敗北となったが、これは先に紹介した2戦とはちがい、勝負に勝って試合に負けたという感じである。天津飯が自分の優勝に納得いっていなかったことからも、それは明らかだろう。

 

 悟空は最初から最強だったわけではない。敗北と努力を重ねたすえに力を手に入れることになったのだ。さらに、強くなったからといって現状に満足せず修行を続ける彼だったからこそ、誰もが憧れる存在になったのではないかと思う。

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