鳥山明さんによる『ドラゴンボール』(集英社)の孫悟空といえば、圧倒的な強さの持ち主である。しかしそんな悟空も最初から強かったわけではなく、むしろ敗戦の連続から始まったといってもいいだろう。敗北の悔しさをきっかけにより強くなるための修行を繰り返し、後に繋げる……。それによって彼は最強の力を手にすることができたのだ。
そこで今回は、意外と忘れてしまっているかもしれない『ドラゴンボール』初期の「悟空の敗北シーン」を振り返っていこう。
■敗因は空腹?ヤムチャとの初戦
まずは、孫悟空まさかの敗北?と驚いてしまったシーンから紹介したい。それがヤムチャ初登場での戦いの一幕である。
悟空がドラゴンボール探しの旅の最中に出会ったのが盗賊のヤムチャ。襲撃を受けたために戦うことになるのだが、この時の悟空は腹ペコであまりやる気もなさそうだった。
そのため、ヤムチャの必殺技である狼牙風風拳をまともに食らい、ダメージを負ってしまう。それでもジャン拳で対抗してみせたが、相手を倒すことまではできなかった。
このままやられてしまうのかと思われたが、ブルマが現れたために女性に弱いヤムチャは逃げてしまう。もし、あのまま戦いを続けていたとしたら悟空の敗北は濃厚だっただろう。
かなり珍しいシーンだが、悟空が満腹だったらどうなっていたかは分からない……。
■この敗北からすべてが始まった?天下一武道会でのジャッキー・チュンとの戦い
次は亀仙人の変装バージョンであるジャッキー・チュンとの戦いである。悟空が初参加した第21回天下一武道会での決勝戦で、師弟対決が実現したのだ。
悟空はこれまでの修行の成果を思い切りぶつけられて嬉しそうだった。そして、対する亀仙人も悟空の師匠として、一切手を抜くことなく全力で相手をする。
ふたりの実力にそこまで大差はなかった。むしろ悟空はたった数ヶ月の修行で、何十年と修行してきた亀仙人(もちろん全盛期とはワケがちがうだろうが……)と互角に渡り合えているのだからスゴい。
最後はWノックアウトという結果になり、どちらが先に立ち上がるかで勝敗が分かれることになった。その結果、亀仙人が意地で先に立ち上がり、悟空は敗北してしまう。
その後の悟空を見ても、ここで優勝するより敗北した方がかえって良かったと思った。そこからもっと強くなりたいという気持ちが強くなったからだ。悟空の挑戦者としての精神はこの戦いから始まったのかもしれない。