ガンダムデスサイズ、ブリッツガンダム、イフリート・ナハトの恐怖…ガンダム作品「レーダーに映らない」ステルス機体の脅威の画像
「HGAC 1/144 ガンダムデスサイズ」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 現実の世界にある「ステルス戦闘機」をご存知だろうか。特殊な素材、形状、電子装備を備えることで、敵軍のレーダーに捕捉されにくい機体のことを指す。アメリカ空軍初のステルス攻撃機「F-117 ナイトホーク」や、ステルス戦闘機「F-22 ラプター」「F-35 ライトニングII」などが有名だ。

 そして『ガンダム』の世界にも、ステルス性能に特化した機体が存在する。隠密行動を得意とするステルス機体たちは、その用途の特殊性もあって独特の魅力があり、注目していたファンも多いのではないだろうか。

 そこで今回は、ステルス性能に特化して開発された、印象的だったモビルスーツを振り返ってみよう。

■その姿を見て生きて帰ったものはいない「死神」

 最初に紹介するのは、アニメ『新機動戦記ガンダムW』に登場した「ガンダムデスサイズ」だ。物語の序盤から個性豊かな5機のガンダムが登場するが、なかでもデスサイズは「死神」をモチーフにした機体となっている。

 その高いステルス性能と機動性の高さが最大の特徴。バックパックに備えた「ハイパージャマー」から特殊撹乱粒子を放出することで、カメラやレーダーから姿を消すことが可能だ。

 また機体表面にはステルス塗料が用いられており、電波、赤外線などを吸収。肉眼による目視以外では捉えにくい機体となっている。

 姿を消したまま音もなく忍び寄り、特徴的な大鎌「ビームサイズ」による必殺の一撃は強烈。敵陣営からすれば、静かに命を刈りとっていく死神そのものだろう。

 第2話では、海中において水中用MS「キャンサー」や「パイシーズ」が次々と撃破されるなか、敵パイロットが「敵襲! しかし敵、確認できません!」と悲鳴に近い声をあげるシーンがある。まさにデスサイズが持つステルス性能の恐ろしさが証明された場面だ。

 デスサイズのパイロット「デュオ・マックスウェル」のセリフ「死ぬぜぇ、俺の姿を見た者はみんな死んじまうぞ」は、彼の代名詞として記憶している人も多いのではないだろうか。

■その後戦いに大きな影響を与えた「反則技」

 次に紹介するのは、アニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場した「ブリッツガンダム」だ。ブリッツは、大西洋連邦が秘密裏に開発していた5機のガンダムの1機で、軍事組織ザフトに奪取されるところから物語が始まった。

 同機の最大の特徴は、「ミラージュコロイド・ステルスシステム」を備えている点にある。機体表面に特殊粒子を磁気で定着させ、非常に高度な迷彩能力を発揮。レーダーによる探知が難しいだけでなく、目視すら不可能になる。

 とくに第6話「消えるガンダム」で真価を発揮。難攻不落のアルテミス要塞は「アルテミスの傘」と呼ばれる鉄壁の防御システムを有する。その要塞攻略作戦の要となったのが、ブリッツの「ミラージュコロイド・ステルス」だ。

 姿を消したまま、要塞に取りついたブリッツは気づかれることなく攻撃を開始。防衛システムが突破されたことに動揺し、敵の位置を聞かれた管制室は「不明です! 周辺に機影なし!」と返している。

 ブリッツの圧倒的なステルス性能はアルテミスの傘が誇る鉄壁の防御を凌駕し、「なにもない」はずの場所から攻撃を受ける事態に要塞内は混乱。同要塞にいたキラたちも奮戦するが、結局アルテミス要塞は陥落した。

 その後、地球連合とプラントの間で締結された「ユニウス条約」では、条項のなかに「ミラージュコロイド技術の軍事利用の禁止」が含まれており、いかにブリッツガンダムのステルス性能が脅威だったかを示している。

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