尾田栄一郎氏の人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』は、連載開始から25年以上が経過し、掲載誌である「週刊少年ジャンプ」(集英社)の「顔」ともいえる圧倒的な知名度と人気を誇る。
その長期連載のなかでは、過去に登場したキャラクターが再登場を果たすことも珍しくない。展開によっては、初登場時の印象が最悪だった人物が、イメージを一新したり、立場を変えて登場したりすることもあるのだ。
とくに内面的な変化が見られたときには、そのギャップに驚きを感じることも。そこで今回は初登場時の印象は悪かったけど、再登場時にガラっと印象が変わったキャラを振り返っていこう。
■作中屈指の「かませ犬」は、もうルフィを笑わない!?
ベラミー海賊団の元船長にして、ドフラミンゴ海賊団の傘下にいたこともある「ベラミー」。通称“ハイエナのベラミー”と呼ばれ、他人が手に入れたお宝を奪って自分のものにする様子は、まさしく動物のハイエナのようである。
そんな彼がルフィと初めて接触したのは、ジャヤ島のモックタウンを拠点にしていたときのこと。酒場でルフィにだまし討ちをしたうえ、空島の話を完全否定してあざ笑った。
空島に関する話を聞いたとき「海賊が夢を見る時代はもう終わったんだ」といい、さらには「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」の存在すら否定している。
その後ベラミーは、モンブラン・クリケットの黄金を狙って襲撃し、ルフィの怒りを買って痛烈なカウンターパンチを喰らって撃沈。幼い頃から憧れていたドフラミンゴにも制裁を加えられた。
彼が再登場したのは、2年後のドレスローザ編でのこと。コロシアムでルフィと再会を果たすと、自分がバカにした空島にたどり着いたことで価値観が変化したことを伝え、ルフィに「もうお前を笑わない」と告げている。
最後は憧れだったドフラミンゴに見捨てられたが、最終的には自分の意志でルフィと対峙。自分のことを“友達”と呼んでくれたルフィに感謝しつつ、“貫くべき筋”を通した。
ルフィに敗れた後はマンシェリーの能力によって生き延び、海賊稼業から足を洗って、海賊旗を作る染物職に就いた模様。
出会った頃は筋金入りの外道だったベラミーが、染物に真剣に打ちこむ姿は想像できなかった。彼が丹精込めて作り上げた海賊旗を、“友達”ルフィに届けるような展開はあるのだろうか……。
■祖国は捨てたが、憎き相手の死を喜ぶほど落ちぶれてはいなかった!
麦わらの一味の船医チョッパーの故郷である「ドラム王国(現サクラ王国)」の元国王だった「ワポル」。ドラム王国編では、ルフィらの前に立ちはだかった人物だ。
先代国王が急死したことで若くして王の座に就いたものの、「王国のものはすべて自分の所有物」という強欲な考えから悪政を敷き、国民を虐げた。
超人系悪魔の実「バクバクの実」の能力者で、あらゆるものを食べる雑食人間。猛毒はもちろんのこと、砲弾などの無機物すらも口にでき、その物の能力や特性を自分自身に反映できる能力を持つ。
過去、ドラム王国に黒ひげ海賊団が襲来した際、敵わないと見ると国を捨てて逃亡。その後海賊となって国に戻る途中にルフィにぶっ飛ばされ、帰国後に城を襲撃したところ、再度ルフィに倒された。
彼のその後は、扉絵シリーズ「ワポルの雑食バンザイ」に描かれている。ホームレス生活から自分の能力で玩具店を開き、「ワポメタル」という新合金を発見。ミス・ユニバースを妻に迎え、世界政府加盟国「悪ブラックドラム王国」を建国して王の座に返り咲いた。
国王となったことで再び世界会議にも参加するが、興味本位で覗き見して、世界政府の闇を知ってしまう。五老星や、その上に立つイムの存在を知るひとりとなった。
さらに、自分と因縁のあるコブラ王が殺害される場面を目撃すると、「嫌いだが……これを喜ぶほど落ちてねェ」と漏らし、冷徹非道な悪党ではないことが分かる。
あわてて離れたワポルは、世界政府の諜報機関「CP-0」に捕まりかかっていたコブラ王の娘ビビまで連れて行くかたちで逃亡した。
何を目撃したのかビビに問い詰められると「お前には一番言いづらいわ!!」と父親の死は隠し、かつて暴力をふるったビビにも相応の配慮を見せている。
その後、ビビと一緒に世界経済新聞のモルガンズにかくまわれることになったワポルは、以前のような極悪非道な様子はあまり感じられず、むしろビビに振り回されている始末。どちらかというと愛すべき元悪者キャラとなった。