■お嬢さまを盲信していた初期ライバル

 続いては、星矢の序盤のライバルキャラだった「邪武(じゃぶ)」。彼は一角獣星座(ユニコーン)の青銅聖闘士で、星矢と同じく聖闘士になるため遠い異国に送られた孤児のひとりだ。

 ヒーロー然とした見た目をしており、一途で熱血な性格という王道の少年漫画キャラ風。そのため、星矢とキャラが被っており、必然的に邪武の出番は減少。レギュラーキャラ入りできなかったという悲しい背景を持っている。

 邪武と星矢……いろいろ似ているふたりだが、盲目的に「沙織お嬢様」を慕う邪武に対し、星矢は自分たちを虐げていた彼女を長らく嫌うなど、当初はヒロインの城戸沙織への対応は真逆だった。

 幼いころの回想シーンでは、高慢なお嬢様が星矢に「馬になりなさい」と命じたとき、邪武が「お嬢様オレが馬になります!!」「どうか この邪武の背におのりください!!」と名乗りでて、這いつくばる場面があった。

 当時6、7歳だった邪武から飛び出したこのセリフに面くらい、ドキドキしながら馬役をまっとうした彼の姿に、ちょっと怖いものを感じたものだ。

 とはいえ、沙織のワガママなむちゃぶりにも絶対服従の姿勢を貫いた邪武は、ある意味“純愛”といえるだろう。

 しかも、邪武自身は「銀河戦争」で紫龍を蘇生させる星矢に檄を飛ばすなど、実は仲間思いで良いヤツなのだ。

 その銀河戦争以降、めっきり出番がなくなった邪武は「黄金聖闘士編」で再登場。このときの邪武は、星矢と自分の“実力差”を認めつつ、ほかの青銅聖闘士とサポート役に徹している。そして「ハーデス編」の終盤では、星矢の姉・星華を仲間たちと体を張って守ったりもした。

 幼いころから沙織を一途に想い、成長してからは自分の立ち位置を理解して、堅実に立ち回るようになった邪武。その恋心も報われず、作中では少々地味だったかもしれないが、実は隠れ「モテ男」であり、ひそかに好印象をいだく女性ファンも多い。

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