アムロ・レイと言えば「ガンダム」、カミーユ・ビダンと言えば「Zガンダム」。『ガンダム』シリーズではキャラクターとモビルスーツは切っても切れないほど関係性が深いもの。どのキャラも紆余曲折を経て、その機体に乗り込むことになるが、中には「少し歯車が違えば別のキャラが乗っていたかも……」という“if”を想像させるケースもあった。
もし、その組み合わせだったらはたして活躍できたのか……。今回は「一歩間違えばパイロットが違っていたかもしれない」そんな機体とパイロットをいくつか振り返ってみたい。
■多くのガンダムファン考えるであろう王道if
「もしもアムロ・レイがアレックスに乗ったら?」
これを妄想しなかったファンはいないだろう。宇宙世紀最強と言われるアムロは、1年戦争終盤には自分の操縦技術についてこれないガンダムのスピードに苛立ちすら覚えており、第39話「ニュータイプ、シャリア・ブル」では「ガンダムの反応が鈍い」「ガンダムの操縦系が、僕のスピードについてこれないんだ」と漏らしていた。
作中時点では最高クラスのスペックであるガンダムでもアムロにとっては物足りない……そんな中開発されたのが、ニュータイプ専用ガンダムの「ガンダムNT-1(アレックス)」だ。
最前線で予想外に大活躍するアムロ用に調整されたアレックスは、性能がピーキーで、通常のパイロットが乗りこなすのは不可能。『機動戦士ガンダム 0080ポケットの中の戦争』では、士官学校を主席で卒業した、間違いなくエリートであるクリスでもロクに扱えず、場当たり的に無難な武装を使ったのみ。そして、バーニィの特攻でアレックスは大破し、直後に1年戦争は終わった。
もしも……だが、アレックスがアムロの手に渡っていれば、まず間違いなく大暴れしていただろう。この点はファンも意見が一致するはず。そもそも、ニュータイプ特有の“勘”で先読み回避ができるのだ。アムロがアレックスに乗れば、もしかするとビームを目視で回避することも余裕で出来てしまうかもしれない。
それに、全天周囲モニター・リニアシートによって、ガンダムより広い視野を確保されているのも大きい。
目視の範囲も広がるため、ジオングやエルメスのオールレンジ攻撃もモノともせず、シャアもあっさり撃墜していたかもしれない(ガンダムに乗ったままでも十分さばけてはいたが……)。
■まさかの裏切りでキラに渡るも本当は…?
『機動戦士ガンダムSEED』後期の主役機体「フリーダムガンダム」は、ラクス・クラインの計らいで主人公キラ・ヤマトに託されたものの、本来は相手陣営であるザフト軍が開発した機体で、対地球連合軍の切り札として使用されるはずだった。
もし、ザフト軍でそのまま運用されていたとなると、やはりパイロット候補はイザーク・ジュールになるだろうか。イザークはザフト赤服のエリートで、アスラン・ザラに次ぐ実力を持つ人物。彼が乗っていたデュエルガンダムも、改修によりアサルトシュラウドを装備し、射撃系の武装を追加し見事な戦いを見せた。イザークなら射撃武装モリモリのフリーダムもある程度乗りこなせるだろう。
ストーリー面で見てみると、フリーダム登場のタイミングでイザークはニコルの殉職を目の当たりにし、アスランと和解。精神的に大きく成長した段階だった。パナマでの地球連合軍との戦いでは、ザフト軍が投降兵を虐殺している様を見て、戦争に対して考え方が変わっている様子を見せていた。
このタイミングでフリーダムを託されたのであれば、彼なりの正義の元、ザフト内部から戦争を終わらせるべく動く……そんな展開もあったかもしれない。
余談だが、ゲーム『SDガンダム Gジェネレーション ADVANCE』(バンダイ/ゲームボーイアドバンス)では、あのクルーゼがフリーダムに乗り込み敵として登場する展開がある。『SEED』放送終了から約2か月後の発売だったため、プロヴィデンスガンダムの情報共有がされていなかったからと言われているが、これはこれでちょっと面白い“if”の展開だ。