『天空の城ラピュタ』のドーラは? 『千と千尋の神隠し』の千尋は? スタジオジブリ作品「実はモデルがいた」人気キャラたちの画像
©1986 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli

スタジオジブリ」作品に登場するキャラクターたちは、悪役からほんの脇役まで、登場するのは個性豊かで魅力的な人物ばかり。“推し”まではいかずとも、それぞれの作品に大好きなキャラがいるというファンは多いだろう。

 実はスタジオジブリ作品では、実在の人物をモデルにそういった魅力的なキャラクターを生み出していることが多い。たとえば、『ハウルの動く城』に登場する荒れ地の魔女のモデルは、声優を務めた美輪明宏さんで、魔女サリマンの使い犬・ヒンのモデルは押井守監督だ。言われてみればどちらのキャラクターもご本人と顔つきや雰囲気が似ている。さて、今回はそんな実在の人物をモデルにしたキャラクターを見ていこう。

■宮崎駿監督の身近な人がモデルになった『天空の城ラピュタ』

 再放送のたびに、Xで「バルス祭り」が行われるほど長年愛され続けている『天空の城ラピュタ』。中でも人気なのは空中海賊の船長ドーラだ。

 彼女の「だてに女を50年やってるんじゃないよ」というセリフがあるように、年齢は50歳前後(60歳説も)。3人息子を育て上げ、海賊一家を束ねるパワフルな母親で、肝の座った豪快な性格をしている。

 そんなドーラのモデルは、宮崎監督の母・美子さんだ。1985に発売された月刊『アニメージュ』の「ラピュタ特集」では、宮崎監督の発言こそないものの「海賊にして母、物欲と食欲の人・ドーラこそ宮崎さんの思い入れの一番深い人。なにしろ宮崎さんのお母さんがモデルなのだから」と書かれている。

 この設定については『金曜ロードショー』公式Xにも引用されており、8月30日の同作放送時にも「そのモデルは宮﨑監督のお母様。宮﨑監督のお母様は病気がちで、監督が6歳から15歳までの9年間、病床にありました。しかしその精神的迫力はドーラに通じるものがあったそうです」と紹介され、多くのファンを驚かせた。

『映画天空の城ラピュタGUIDE BOOK』では監督の弟・至朗さんがその人物像について語っており、「病気がちだったので、あの肉体的活発さはなかったし、もう少し美人だったと信じたいが、精神的迫力はまさにドーラに通ずるものがあった」という。宮崎監督もこれまでにさまざまな対談やインタビューで「母は強い女だった」と母を振り返っている。

 また、宮崎監督はかつて『ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ』で、ドーラの設定を「ダメな息子は蹴飛ばすし見込みがあると思ったら力になってくれるという母」と発言していた。この設定はまさに、弟さんの話す美子さんと一致するところだ。 

 そして、パズーとシータが鉱山の坑道で出会ったポムじいさん。白い髭を蓄え、どこか可愛らしい雰囲気を醸し出すポムじいは、大量の荷物を背負って地下に潜って生活を送る変わり者だ。宮崎監督いわく彼は「内気で人と喋るよりも地下で石と会っている方がいいという人で、世の中でうまく生きていくのが下手な分だけ何かもっと大事なことにも気づく人」とのこと。

 モデルとなったのは宮崎監督が信頼を寄せる一流のアニメーター。『耳をすませば』で監督を務めた近藤喜文さんと、『どうぶつ宝島』などのキャラデザを務めた森康二さんだ。

『THE ART OF LAPUTA』内での宮崎監督の発言によると、ポムじいさんはこの2人を足して2で割ってできたキャラクターなのだとか。年齢を重ねた頃の写真を見ると、外見は森康二さんに似ているかもしれない。

■声優とキャラクターをリンクさせた『おもひでぽろぽろ』

 高畑勲さんが監督・脚本を務め、1991年に公開された『おもひでぽろぽろ』。岡本螢さん原作・刀根夕子さん作画の同名漫画をアニメ化した作品だが、原作とはストーリーが違い、ノスタルジックな世界観の中で27歳の主人公が小学生時代を回想しながら人生と向き合っていく物語となっている。

 主人公・岡島タエ子(27歳)の声優を務めたのは、女優の今井美樹さん。そして今井さんこそが、タエ子のモデルなのだ。キャラデザインと作画を担当した近藤喜文さんは、『ジブリの教科書6 おもひでぽろぽろ』で「高畑さんからリアルな顔にしたいと言われ具体的なモデルを想定するために俳優をイメージし、今井美樹さんになった」と明かしている。

 タエ子と恋仲になっていくトシオも声優を務めた柳葉敏郎さんをモデルにしている。今井さんも柳葉さんどちらも、口の動きや表情などを細かく落とし込んでいるため、かなりリアルな作りになっているのだ。

 しかも、同作は通常の“絵に合わせてアフレコする”というスタイルではなく、アフレコ中の今井さんと柳葉さんを撮影して、その声に合わせて絵を付けていったのだとか。高畑監督の“リアルさ”に対する強いこだわりを感じるエピソードだ。 

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