■人間の子を産み育てた異質なパラサイト『寄生獣』田宮良子役・深津絵里

 岩明均さんによる名作漫画の実写化、2014年公開の『寄生獣』、そして2015年の続編『寄生獣 完結編』。

 主人公は、染谷将太さん演じるパラサイト・ミギーに寄生され共存することとなった高校生・泉新一。そして深津さん演じる田宮良子は、実写映画版のもう一人の主人公とも言えるほど重要な役割を担っていた。

 田宮は新一が通う高校に赴任してきた教師で、その正体はパラサイトだ。原作漫画でも仮面を張り付けたような無表情で冷淡な姿が印象的なキャラクターなのだが、普段は明るく朗らかな深津さんだからこそ、そのギャップが田宮の恐ろしさを一段と引き立たせていた。

 深津さんは原作を読み、「なぜ寄生獣にはこんなに個性があるのか不思議で面白かった」と語っており、それは「脳以外のところにある脊椎だったり体だったり、そういうところに残っているその人の感情みたいなものが生き残っているんでしょうかね」と、独自の分析を山崎貴監督に語ったのだという。そしてこの見解に共感した山崎監督は、深津さんの解釈を作品に取り入れたとのことだ。

 実写映画では、原作漫画でも屈指の名場面が再現されている。パラサイトだとばれ、警察の一斉射撃を受ける田宮。人間である我が子を守りながら死んでいくその最期は、恐ろしくも美しく、そしてどことなく儚げで、深津さんの深みのある演技あってこその名シーンとなっていた。

 

 今回は漫画の実写化作品で「美しい悪役」を演じた女優たちを紹介してきた。その美しき姿はもちろん、彼女たちはそれぞれのキャラクターに独自の解釈を加え、実写ならではの魅力を引き出していたように思う。その姿は、観客に強い印象を残し、原作ファンにとっても新たな発見をもたらしたのではないだろうか。

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