1989年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(監修:堀井雄二氏、原作:三条陸氏、作画:稲田浩司氏)。本作では主人公・ダイを中心に、ポップやマァムといった仲間たちが必死に力を合わせて強力なボス戦に挑んでいくのが、なんといっても見どころだった。
そこで、『ダイの大冒険』において、仲間との絆や想いが伏線となった感動のボス戦を振り返ってみよう。
■体を張った獣王・クロコダイン! 竜魔人バランとの戦いでの本当の立役者だった
まずは、前半の最強の敵として登場した魔王軍の超竜軍団長・バランだ。ダイの父親でもあるバランだが、竜闘気(ドラゴニックオーラ)を駆使しダイたち一行を壊滅状態に追いやる。なんせ仲間の攻撃がほとんど通用しないほどのレベルで、実はその正体は伝説の“竜の騎士”というのだからその強さは格別だ。
作中、バランは2回襲撃に来ている。1回目は息子であるダイを味方に引き入れようとしてダイの記憶を消し、戦闘能力をゼロにしてしまう。
そして2回目。バランの最強配下3人を食い止めるためにポップが孤軍奮闘するのだが、そこへヒュンケルが割って入る。ダイのもとには元魔王軍百獣魔団長のクロコダインと、パプニカの王女・レオナだけ……もはや絶望の極みだ。獣王といわれるほどのクロコダインだが、バランに敵わないことは1回目の襲撃で証明済みだった。
しかし、命を懸けて強敵を食い止めに行ったポップの気持ちを汲み、クロコダインは一つだけ策があると提案する。バランの最強攻撃であるギガブレイクを自分がわざと受け、レオナのベホマで体力の回復を図ろうとするのだ。
ギガブレイクには攻撃呪文のギガデインが必要だ。これはゲーム『ドラゴンクエスト』でも登場する最強クラスの呪文なのだが、消費MPもかなり多い。それを連発したのだから、さすがのバランも体力を使ったようで肩で息をしていた。
しかし最終的には敗れてしまったクロコダイン。しかし、ギガブレイクを2発も食らって死なないのは初めてだったという。普通は死んでしまうだろう。そりゃそうだ……伝説の竜の騎士が放つ最強必殺技なのだから。
この後、バランは竜魔人となって記憶を取り戻したダイと激闘を繰り広げるのだが、実際に魔法力(ゲーム版のMP)が消耗していたおかげもあり、ダイは勝利した。これもクロコダインが身体を張って堪えたからこそ。やってくれるぜ、獣王よ!
■ギリギリで超魔生物・ザムザに勝利! ほんのわずかな体力を回復できるチウの「涙のどんぐり」
バランを退けたあと、ダイとポップは竜闘気に耐えられる武器を探すため、優勝者に“覇者の剣”が与えられるロモス王国の武術大会へ向かう。ここでは、それまで武闘家の修行のため離脱していたマァムと再会。兄弟子のチウも初登場した。
この武術大会は、妖魔士団の軍団長・ザボエラの息子であるザムザによって企てられたものだった。武術に優れた達人たちを超魔生物の研究に使用するのが目的だと知ったダイたちは、これを阻止すべく超魔生物と化したザムザに立ち向かう。
武器はないものの、竜闘気を全開にしたダイの攻撃をしのぐザムザ。バランとは違った強さを見せるザムザを相手に、ダイはピンチに陥ってしまう。ポップやチウの機転で一命を取り留めるが、ザムザの反撃でみんな体力や魔法力が尽きてしまいそうだった。
そんな絶体絶命の状況で登場したのが、マァムだ。新技・閃華裂光拳は超魔生物にも効果があり、ザムザを逆に追い詰めていく。ダイはマァムの戦い方にヒントを覚え、インパクトの瞬間だけに全エネルギーを込めようと体力を温存することを決めた。
ここで決め手となったのが、チウが持っていた「涙のどんぐり」だ。まさに“すずめの涙”ほどわずかな体力回復ができるアイテムなのだが、実はこれのおかげでダイはアバンストラッシュをザムザに決めることができた。
ダイだけでなく、マァムやポップ、チウと仲間の絆で手にした勝利だった。それにしても人間の姿をしていたとはいえ、あんなに怪しいザムザに気を許すロモス王って。でろりん率いるニセ勇者一行の件で、反省していたんじゃなかったのか……?