■異色のアクションがかっこいい!『亜人』綾野剛

 桜井画門さんによる『亜人』(講談社)は2017年9月に実写映画化され、人気俳優の佐藤健さんが主演を務めたことでも注目を集めた。

 本作ではラスボスである佐藤を綾野剛さんが演じているのだが、彼がSATを相手に大立ち回りを演じるシーンがある。亜人である佐藤は死ぬと肉体をリセットする能力があり、その特性を活かした戦いをするので、少々異色のアクションとなっているのが印象的だった。

 次々と敵を攻撃しながら、拘束されれば自分ごとその相手を攻撃したり、傷を負えば一切の躊躇なしに自らを殺したりする……。そして肉体をリセットして再度体勢を立て直す。これの繰り返しだから、どんな展開になるのかまったく予測がつかなかった。

 大勢を相手に銃やナイフを使いこなす綾野さんの動きには淀みがなくキレがある。敵役なのにカッコいい……思わずそう思ってしまうほどだ。

 綾野さんは、高校時代まで陸上競技に打ち込んでいた身体能力を持ち合わせ、ドラマや映画でこれまでにいくつもアクションを経験をしているので見ていて安定感がある。佐藤の不気味でつかみどころがない雰囲気も見事に再現していた。

■ワイヤーで吊られながらの高難易度ガンアクション!『バイオレンスアクション』橋本環奈

 最後は原作:沢田新さん、作画:浅井蓮次さんによる『バイオレンスアクション』(小学館)の実写化を紹介したい。この作品は2022年8月に劇場公開され、昼は専門学生、夜は殺し屋という謎めいた主人公・菊野ケイを橋本環奈さんが演じている。

 橋本さんは「実写化の女王」的な存在で、これまでいくつもの漫画原作の作品に出演してきた。愛らしいルックスでキャラを再現するのはもちろん、クセ強な振る舞いも見事にこなす演技力にも定評がある。

 そんな彼女は本作でケイを演じるにあたって、本格的かつ難易度の高いガンアクションに挑戦した。中でも特に印象的だったのが、ワイヤー1本で吊られた状態で回転し、同時に銃を撃ちまくるというシーン。これには橋本さんも思わずキツイと本音を漏らしたそうだ……。しかし、そんな風に言いつつ、華麗なアクションをしっかりこなせているのだからスゴい。

 監督自身、本作について「本格的なアクション映画を作れて嬉しい」とコメントしているので、彼のアクションに対する本気度がそのまま形になっているともいえるだろう。橋本さんの努力はもちろん、それを支えている制作陣の熱の入れ方も称賛に値する。

 

 実写作品に登場するガンアクションは、近年どんどんクオリティが上がっている。それは、原作愛を持って撮影に取り組む俳優や制作スタッフの努力があってこそだと思う。

 まだ実写化されていないガンアクション作品がたくさんあるので、これからも新たな作品の登場に期待したい。個人的には広江礼威さんによる『BLACK LAGOON』(小学館)の実写化が観てみたいところだ。

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