さまざまな漫画の実写化がされる中、近年のアクション作品の実写版には驚かされてしまう。映像技術の向上もそうだが、俳優が見せるアクションのキレがスゴいのだ。
アクション指導や映像の見せ方の上手さも相まって、まるで流れるように鮮やかに場面展開されていく。あまりにも激しく速い動きに、思わず息をするのも忘れてしまう……。
その中でもガンアクションは、装填、構える、発射の3つの動きがありうまく演じることは難しいはずだ。しかし、それを難なく再現している作品もあり、俳優や制作陣の努力が感じられる。
そこで今回は、漫画実写作品のガンアクションで多くの人を魅了した俳優を、作品とともに紹介していきたい。
■大人数相手のアクションに惚れ惚れ!『シティーハンター』鈴木亮平
2024年4月にNetflixで実写版が配信開始された、北条司さんによる『シティーハンター』(集英社)。本作で主人公の冴羽獠を演じたのは、数多くの漫画実写化で主役を務めた経験のある鈴木亮平さんだ。
鈴木さんは俳優の中でも役作りにこだわっていることで有名である。体重の増減による肉体改造や職業についての勉強など、その演技に対する意識の高さには共演者たちも脱帽するほどだ。
そんな鈴木さんが冴羽を演じるとどうなるのかというと、コミカルとシリアスの演じ分けが抜群に上手い。これは漫画原作である、『HK/変態仮面』(あんど慶周さん)や『俺物語!!』(原作:河原和音さん、作画:アルコさん)などでの演技の経験も活かされているのだろう。
そして、特に注目すべきは多対一での戦闘シーン。森田望智さん演じる香とふたりで敵地に乗り込み、大勢の武装集団を相手にする場面では、スピード感あふれるアクションの連続となる。この場面で冴羽はどう見ても不利な状況なのに、銃を見事に使いこなしバタバタと敵を倒していた。しかも香を守りながら……。
ひとつの動きにミスがあると流れが止まってしまいそうなので、かなり緊張感のある撮影だったに違いない。そんな中でもキレキレの動きを当たり前に披露できる鈴木さんは、原作ファンの期待に応えられる素晴らしい俳優だと思った。
■ハードボイルドな演技から目が離せない!『次元大介』玉山鉄二
次は2023年10月にプライムビデオで配信された実写映画『次元大介』を紹介したい。これは、モンキー・パンチさんによる『ルパン三世』に登場する次元大介を主人公にした作品だ。
次元といえばコンバットマグナムを愛銃とし、0.3秒の早撃ちを得意とするガンマンである。彼を本作で演じているのが玉山鉄二さんで、次元の特徴であるハットと髭がよく似合っていた。
そして、先ほど紹介した冴羽と同じような的確な銃さばきも見事としかいいようがない。マグナム以外にも、ライフルや敵が持っていたグロックなどさまざまな銃を使うシーンもあり、大勢の敵をたったひとりで次々倒すガンアクションは、迫力と爽快感があってまるで洋画のアクションのようだ。
しかも、身に着けたハットを落とさず激しく動き回るのも原作通りなのだが、これはなかなか真似できないと思った。脇を固める真木よう子さんや永瀬正敏さんのアクションも素晴らしく、玉山さんに引けを取らない。とにかく見ごたえたっぷりのハードボイルド作品である。