■『ジョジョの奇妙な冒険』ケンカ別れしたはずなのに…深い絆でつながっていたシーザーとジョセフ

 最後は『ジョジョの奇妙な冒険 Part2 戦闘潮流』(荒木飛呂彦氏)に登場する主人公・ジョセフ・ジョースターとライバルのシーザー・A・ツェペリだ。

 2人の祖父は50年前の弟子と師匠の関係であり、深い絆で結ばれていた。だが、孫のシーザーはジョセフを軽んじており、常に上から目線で接するなど初対面の印象はお互い最悪だった。だが、一緒に修行をして死線を乗り越えるたびに、だんだんと友情が芽生えていく。

 その後、ジョセフ一行は最強の敵・カーズの居場所を突き詰めることに成功。しかし、夜まで待つというジョセフと、太陽が出ている昼に攻撃するべきと主張するシーザーとで意見が食い違ってしまう。祖父の因縁に早く決着をつけたいと焦るシーザーに対し、会ったこともない先祖の因縁なんかくそくらえというジョセフ。この言葉を受けて激昂したシーザーは、単身カーズの元へと乗り込んでしまうのだ。

 実はこのシーザーの行動には訳があった。過去にシーザーは、家族を捨てて蒸発した父を憎んでいた。6年後、偶然父を見付けて復讐を目論むのだが、その際、柱に眠っていたカーズの罠にかかり絶体絶命の危機に陥ってしまう。

 ここでシーザーの身代わりとなって死んだのが父だった。そしてシーザーは、家族を巻き添えにしたくないために父が失踪していたこと、柱の男という強敵と一人戦っていたことを知る。そんな父の心理を悟ったシーザーは、自身の血統を誇りとしていたのだ。だからこそ、ジョセフの言葉が許せなかった。

 その後、柱の男の一人・ワムウと戦うこととなったシーザー。彼を追い詰めるも、あと一歩のところで逆転されてしまう。死を悟ったシーザーは命を懸けてワムウから解毒剤入りのピアスを奪い、最期の力でシャボン玉の波紋を作りジョセフへ託すのだった。

 満足そうな顔で力尽きたシーザーに大きな岩が落ちてくる。その後、フワフワと浮かんでくる鮮血で作った真っ赤なシャボン玉……。死してなお、シーザーからジョセフへの深い友情が伝わるシーンだ。当時は誰もが号泣したに違いない。

 

 ここで紹介したバトル漫画は、どれも名作ばかりだ。一時は仲違いしてしまっても、最後はしっかり友情を取り戻すところにグッときてしまう。昔も今も、熱い魂を持つ友情パワーは、悪を倒すためには不可欠なのかもしれない。

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