『キン肉マン』に『ダイの大冒険』、『ジョジョ』でも描かれた…仲間のため戦う姿に感動した「ジャンプ黄金期」バトル漫画の名シーンの画像
『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』第2巻 [Blu-ray](エイベックス・ピクチャーズ)

 1980年代から1990年代前半に巻き起こった「ジャンプ黄金期」。当時、小学生から中学生時代だった筆者だが、数々のバトル漫画で描かれる熱い友情に激しく感動していた。毎週ハラハラドキドキし、友人たちと議論を交わしたものである。

 そんな「ジャンプ黄金期」の作品では、作中でキャラたちの友情に亀裂が入ってしまい、仲違いをするシーンもたびたび登場した。しかし、多くがその後和解し友情を取り戻している。今回は、そんな感動を呼んだ名シーンを振り返ってみよう。

■『キン肉マン』友情パワーを奪われても…最強コンビの復活に感動した「夢の超人タッグ編」

 まずは、友情をテーマにしていた名作『キン肉マン』(ゆでたまご 原作:嶋田隆司氏、作画:中井義則氏)だ。今年7月から始まった新作アニメも絶好調だが、今の世代だと、かつて『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていたことを知らなかった人も多いだろう。

 さて、“友情パワー”という言葉があるように、『キン肉マン』では正義超人たちの友情が熱く描かれている。だが、その友情に亀裂が入ってしまったのが「夢の超人タッグ編」である。

 悪魔超人のアシュラマンとサンシャインによって友情パワーが奪われてしまった、主人公のキン肉マン。一緒に戦うパートナーが決まらず、師匠のプリンス・カメハメが老体に鞭打って助けに入るほど。

 その後の対戦で、完璧超人のヘル・ミッショネルズのクロス・ボンバーで仮面をはぎ取られてしまったロビンマスク。「同じ覆面超人としてこのキン肉マンがゆるさねえ!!」と、キン肉マンは素顔のスクープを狙う野次馬たちから必死にロビンマスクを守るのだ。その姿を見たロビンマスクは友情の素晴らしさを忘れていた自身を嘆き、涙を流すのだった。

 さらに、テリーマンとジェロニモがピンチを迎えた際にも友情は復活する。駆けつけたキン肉マンからの熱い声援に、テリーマンは勇気づけられピンチを脱出するのだ。テリーマンの安堵した表情に、見ているこちらも嬉しくなってしまった。

 決勝戦で、キン肉マンとテリーマンは最強コンビを復活させる不滅の友情パワーを見せつける。取り戻した友情パワーは、最終的にアシュラマンとネプチューンマンまで改心させるほどの大きなものだった。

■『ダイの大冒険』怖くて逃げたかったのに…踏み止まったポップの「ひとかけらの勇気」

 『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(監修:堀井雄二氏、原作:三条陸氏、作画:稲田浩司氏)では、仲間よりも自分の命を優先する初期のポップが印象的だった。

 勇者・アバンの仇を討つため、主人公のダイと魔法使いのポップは旅に出る。ロモス王国へ向かう途中、同じアバンの使徒であるマァムと出会った二人。夜だったため王宮に入れず、ダイ一行は近くの宿屋に泊った。

 翌朝、迫力満点の獣王クロコダインとその軍団の襲来に怯えたポップは、一人飛び出したダイを追いかけようとせずに白けた態度。一緒に追いかけようとするマァムに、ポップはクロコダインの強さはハンパなく、行っても殺されるようなものだと拒否する。

 「どうしたのよ ポップ!!」と、彼の胸ぐらを掴んで怒鳴りつけるマァム。しかしポップは「うるせえなっ!!!」と、その手を振り払い「好きで戦ってきたんじゃねーんだ!!」と、絶叫し「死にたかねえよ!!」と、震えながら本心を吐き捨てる。

 すると、その言葉を聞いたマァムがさらに一撃を食らわし、そして「…あんたなんか最低よ!! 二度と顔も見たくないわ!!!」と涙する。その姿にハッとするポップだったが、どうしても一歩が踏み出せないでいた。まあ、怖くて逃げたいというポップの気持ちは、普通の人間として当然の行動といえるが……。

 それを見ていたまぞっほに「勇者とは 勇気あるものッ!!」と諭され、ひとかけらの勇気が残っていたポップは仲間を助けに向かうこととなる。ガタガタ震えながらも踏み止まり、怒りの形相で睨みつけるクロコダインに勇敢に立ち向かっていくポップ。「…おれの仲間を傷つける奴は… 絶対にゆるさねえぞおぉぉぉっ!!!」と、叫ぶ姿は最高だった。

 ここではマホカトールとメラゾーマを使っただけなのだが、それでもこのシーンでポップを見直し、好きになった人は多いだろう。

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