“おだやかな心”と“はげしい怒り”の持ち主ではなかった?『ドラゴンボール』最強のインパクトだったナッパはなぜ超サイヤ人になれなかったのかの画像
『ドラゴンボール改』第3巻 (DVD(Happinet(SB)(D))

 鳥山明さんの名作『ドラゴンボール』(集英社)に登場する、1000年に1人現れる伝説の戦士「超サイヤ人」。原作に限ると、変身できたのは主人公の孫悟空と息子の悟飯・悟天、ベジータと息子のトランクス(過去と現代)くらいだ。

 では、もともとベジータの仲間だったナッパはどうだろう。サイヤ人のなかでも圧倒的な強さを見せつけ、餃子、天津飯、ピッコロを次々と死に追いやり、読者を恐怖に陥れたのは彼ではなかっただろうか。

 今回は、そんなナッパがなぜ超サイヤ人になれなかったのか、原作に絞って振り返ってみたい。

■超サイヤ人になる条件は“おだやかな心”と“はげしい怒り”

 さて、原作ではじめて超サイヤ人となった孫悟空。フリーザ戦で覚醒した際、悟空は自らこう語っている。「おだやかな心をもちながら はげしい怒りによって目覚めた 伝説の戦士…超サイヤ人孫悟空だ!!!!!」と。

 なるほど。確かに悟空はクリリンが殺されたことがきっかけで、超サイヤ人となった。

 その後、ベジータも超サイヤ人へと覚醒するのだが、“おだやかな心を持っていないはず”と驚くクリリン(生き返った)たちに「おだやかだったさ…おだやかで純粋だった…ただし 純粋な悪だがな……」と語っている。

 ベジータは自分が強くなりたいがために特訓を重ねるも、限界を超えられない自分への怒りを原動に超サイヤ人へと目覚めたようだ。

 とはいえ、これがナッパに相当するのかは疑問ともいえる。まずは原作でのナッパの言動を見返してみて、これに当てはまるか考えてみたい。

■血気盛んも実はちょっと優しい? “あいさつ”好きなエリート戦士・ナッパ

 ナッパといえば、やはり地球を侵略しに来た時のインパクトが絶大だ。体格はベジータより優れており、いかにも“戦闘民族”という印象を受ける。立派なエリート戦士だ。

 到着した宇宙船から地球に降り立ったナッパとベジータ。周囲がざわつくなか、ナッパは「ピーピー うるさいヒヨコたちに あいさつしてやろうかな……」と言い、“クン”と軽く指を振るう。すると激しい衝撃波が地上を襲い、あたり一面が消し飛んでしまった。

 これは地球の一部が“ポッ”と爆発しているようでもあり、殺傷能力の高い兵器を落とされたようなものだろう。これにより、東の都は壊滅。とにかく、もの凄い戦闘能力を見せつけた。

 「ふははははっ!!!」と高笑いし、あいさつが“ていねい”になってしまったと言うナッパ。なるほど、さすがエリート戦士だ。初対面では丁寧なあいさつから入るとは恐れ入る。

 「もうこれぐらいにしとくんだな」と、ベジータにたしなめられていたが、血気盛んなところはさすが戦闘民族のサイヤ人ならではといったところだろう。ちなみに、ナッパは遅れて到着した悟空にも「こいつはあいさつがわりだっ!!!」などと言っていた。

 そういえば、ナッパは地球に来る前、ドラゴンボールで死んだラディッツを生き返らせるのかとベジータに聞いている。意外にも仲間思いの一面があるのかもしれない。

 なるほど、ナッパはあいさつ好きで仲間思いと、実はちょっと優しい一面があるようだ。少しは“おだやかな心”を持っているのかもしれない。

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