■ブチャラティについて行くことはできなかった『ジョジョの奇妙な冒険』パンナコッタ・フーゴ

 荒木飛呂彦さんの『ジョジョの奇妙な冒険』第5部「黄金の風」に登場したパンナコッタ・フーゴも作中最強クラスのスタンド能力者でありながら、途中退場してしまったキャラである。

 フーゴは16歳という若さながらIQ152という優れた頭脳の持ち主で、普段は紳士的なインテリである一方、非常に怒りやすく一度キレると手を付けられないキャラだ。

 そして、彼のスタンド“パープル・ヘイズ”は、拳に搭載された数個のカプセルから殺人ウイルスをばら撒く能力を持ち、彼の凶暴性を具現化したようなスタンドである。イルーゾォ戦ではその強さもさることながら、味方チームでありながら無差別に人を襲う殺人ウイルスの恐ろしさが衝撃的だった。

 その後フーゴは、組織を裏切ったブチャラティについて行くことができず、サン・ジョルジョ・マジョーレ島で離脱することとなる。チームのなかでも最初にブチャラティに見出された最古参メンバーで、さらに彼のスタンドも一度しか戦闘シーンが描かれておらず、まさかの途中離脱にファンの間では衝撃が走った。

 これは個人的な意見だが、フーゴはここで離脱してよかったのかもしれない。なぜなら『ジョジョ』第5部は、周囲の人を巻き込んでくる無差別攻撃してくる敵スタンドが多いからだ。

 フーゴ離脱の後の敵、カルネのスタンド“ノトーリアス・B・I・G”、チョコラータのスタンド“グリーン・ディ”もそうだった。仮にフーゴが離脱せず、“パープル・ヘイズ”で応戦するような展開があったとすると、さらなる大惨事になっていたかもしれない。

 ちなみに、本編ではその後活躍することがなかったフーゴだが、2001年宮昌太朗さん、大塚ギチさんの『ジョジョの奇妙な冒険2ゴールデンハート/ゴールデンリング』、2011年の上遠野浩平さんの『恥知らずのパープルヘイズ』というノベライズ作品で登場し、活躍することになる。フーゴのその後が気になる人は、そちらを確認してみるのもいいだろう。

 

 今回はバトル漫画で途中離脱してしまったキャラクターたちを紹介してきた。彼らの離脱は物語の展開に大きな影響を与え、ファンに深い印象を残した。そして、もしも彼らが物語に残り続けていたら、どのような展開になっていたのかと想像してみることは非常に楽しい。あなただったらどんな展開があったと考えるだろうか。

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