天海祐希さん主演で12月13日に実写映画の公開を予定している人気児童小説シリーズ『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』。
同作は、不思議な駄菓子屋・銭天堂を舞台に、店主の紅子が願いがかなう「ふしぎ駄菓子」を売り、それを買った人々の行く末を描くという内容で、児童小説ながらも毎回必ずしもハッピーエンドというわけではなく、駄菓子を買った人の行動によっては痛い目を見る回も少なくない。
この「得体の知れないおばあさんが不思議な商品を売り、それを買った人が幸せにも不幸にもなる」というあらすじを聞いて、30代以上の世代の中には平成時代にアニメ放送された「ある作品」を思い浮かべた人もいるのではないか。
そう、1999年から2001年まで日本テレビ系で放送されたバラエティ番組『週刊ストーリーランド』だ。この番組は視聴者投稿などをもとに毎週3本〜4本のアニメにして放送するというもので、その中でも、圧倒的な人気を誇ったのが「不思議な商品」シリーズと称される、謎の老婆が毎回違う客に不思議な商品を売る話。客は毎回その商品の効力によって人生を一変させることとなる。
商品を買った人の人間性や行動によって毒にも薬にもなる不思議な商品と、それに振り回される人たちの本性が浮き彫りになる作品だった。
このおばあさんというのが本当に謎の存在で、毎回一見すると意味のわからない不思議な商品を売っては、内容を聞いても「『◯◯』という意味でございます」と言って詳しくは商品説明をしてくれない怪しさが印象的だった。
今回はアラサー世代にとっての『銭天堂』といっても過言ではない「不思議な商品」シリーズを振り返り、特に客が怖い末路を辿った回を紹介したい。
■恐ろしいオチにビビった「使えない棺桶」
まずは、記念すべきシリーズ1回目となった「使えない◯◯」。
この話の主人公の会社員は、持っているだけで喫煙意欲がなくなり結果的に禁煙できる「使えないライター」を手に入れたことをきっかけに、老婆から様々な商品を買うことになる。誤字脱字などのミスがなくなる「使えない消しゴム」や、電車通勤する必要のない「使えない定期券」など、次々と新商品を手に入れたことで仕事がうまくいき、主人公は出世。調子に乗って「使えない棺桶」を10万円で購入する。
これを主人公は「使えない=死なない」と解釈して購入したが、海岸で行われたパーティでみんなの前で崖から飛び降りて見せた彼は、結局死んでしまい、遺体は永遠に発見されなかった。
「使えない棺桶」とは、死体が見つからなければ棺桶は使えないという意味で、葬式も行えなくなるという意味だったのだ。調子に乗った人間の末路といった感じで、物語の世界観を視聴者に印象付けるには十分すぎるオチだった。
続いては「終わらない◯◯」。
主人公は、弾が尽きることがない「終わらないピストル」、内容がかなり面白く1日中読んでも読み終わらない「終わらない本」、中に入れたお金がいつまでもなくならない「終わらない財布」と様々な商品を手に入れる。
そしてついに、いつまでもあふれ続け、枯れた植物が元気になり、どんなものでも不老不死になる「終わらない水」を手に入れた主人公は、新興宗教の教祖となり、信者に水を分け与えることで大金を得る。
しかし数年後、体内の病原体までもが不老不死になり、永遠に苦しむことになった信者たちによって集団リンチにあってしまう。しかし主人公自身もすでに水を飲んでおり不死のため、永遠に終わらない苦しみを受けることになるのだった。
彼もまた目先の欲に目が眩み、痛い目を見てしまう。物語のどんでん返しも「不思議な商品シリーズ」の面白さだった。