『魔法使いサリー』『ひみつのアッコちゃん』『キューティーハニー』などから始まり、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』や『美少女戦士セーラームーン』シリーズが大ヒットした「魔法少女アニメ」。現在でも少女向けアニメとして一大ジャンルに君臨しており、2004年より始まった『プリキュア』シリーズでは、現在21作目となる『わんだふるぷりきゅあ!』が大人気放送中だ。
特に1992年から放送開始した『美少女戦士セーラームーン』シリーズは社会現象を引き起こし、同作の人気をきっかけとしてか、90年代には『魔法騎士レイアース』『怪盗セイント・テール』『おジャ魔女どれみ』シリーズなど人気作品が多く生まれた。
■『ミンキーモモ』に続いて作られた葦プロダクションの魔法少女アニメ
そんな90年代の魔法少女アニメの中には、ヒット作に比べるとマイナーな印象こそあるものの、現在のアラサー・アラフォー世代の少女時代にビシバシ心に刺さった「隠れた名作」も存在する。
そのひとつが、1990年という『セーラームーン』もまだ生まれていなかった時代に放送された『魔法のエンジェル スイートミント』ではないだろうか。
同作は、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』に続く、葦プロダクション制作による魔法少女アニメ第2弾であり、魔法の国から来た主人公が人間界の困っている人たちを助ける「魔法のエンジェル」として、人間界へ修行に行くというストーリー。ストーリーの大枠も『ミンキーモモ』を踏襲している。
主人公のミントは少女向けアニメの主人公としては珍しいミントグリーンの髪色のツインテールが特徴的。魔法の国のお姫様ということで、作中では魔法少女ものらしくコンパクトやステッキ、アロー(弓矢)が登場し少女の心をワクワクさせた。
「パリエル レムリン スイートミント」という呪文を唱えてコンパクトをステッキかアローに変化させ、変身魔法や物体移動などに使う典型的な魔法少女作品で、知名度はイマイチながらも一部の少女の憧れとなる作品だった。
そして、その『スイートミント』に続く葦プロダクション制作の魔法少女アニメ第3弾が1992年の『花の魔法使い マリーベル』。『セーラームーン』の1か月前に放送開始したためか、こちらもすっかり影に埋もれてしまったが、また違う趣深い作品だった。
特徴的なのは、これまでの魔法少女作品よりさらにメインターゲット層を低くし、幼稚園児から小学校低学年に向けた作品だったことだろう。また通常の魔法少女作品は主人公目線で物語が描かれ、自身に立ちはだかる困難や課題を解決することが多いが、本作においてはエピソードの中心は主人公のマリーベルの周囲の子どもたちとなることが多かった。
頭に大きな花のリボンがついたマリーベルは人間の年齢に換算すると5歳。金色の髪にドレスというお人形のような風貌はこれまでの魔法少女ものにはない新鮮な魅力があった。