漫画には出世キャラと呼ばれるキャラがいる。最初はあまり目立たないモブに思えたのに、いつの間にか重要人物になった者たちのことだ。
その原因としては、作者の気まぐれやストーリーの流れなどが関係している。最終的には主人公と肩を並べるような活躍を見せる彼らだが、初登場シーンとのギャップには思わず驚かされる。今回はそんな「出世キャラ」たちについて紹介していきたい。
■思いつきがきっかけで人気キャラに!?『ONE PIECE』ネフェルタリ・ビビ
尾田栄一郎さんによる『ONE PIECE』(集英社)に登場する重要キャラであるネフェルタリ・ビビは、実はもともとただの脇役だった。
ビビといえばアラバスタ王国の王女で、クロコダイルによる国家転覆を防ぐために活躍した立役者。必死に国民に訴えかける姿には、心を突き動かされるものがある。そして、ルフィとの別れのシーンで、全員が「仲間の印」が付いた左腕を突き上げた時も感動的だった。
そんなビビだが、初期は秘密結社バロックワークスのエージェントのひとり、ミス・ウェンズデーとして登場しており、主要なキャラクターのようには見受けられなかった。
作者の尾田さんも当初はビビについて、エージェント以上のことは考えていなかったようだ。しかし、ある時髪を下ろした姿を描いたところ、“王女っぽい”と思い始める。そこから、後のアラバスタ編で再登場させたら面白いのでは?と構想を練り始めたとのことだ。
作者自身も「連載ってワンダーランド」と振り返っているように、王女としてのビビは予想もしない偶然が生み出した人気キャラだったのである。
■声優がきっかけで名前が与えられた『名探偵コナン』高木刑事
続いては青山剛昌さんによる『名探偵コナン』(小学館)の高木刑事だ。高木刑事が最初はモブキャラだったのは有名な話である。目暮警部の部下の名前もない刑事のひとり……。
格上げされた理由は声優の高木渉さんにある。高木さんはもともと小嶋元太の声優だった。しかし、もっと作中に出演したいという要望を出し、モブ役もこなしていた。これにかんしてはメインキャラの声優もガヤの声当てなどをするので、それほど珍しい話ではない……。
そんな中、高木さんは事件の状況を説明する名無しの刑事を担当する。その際、「高木です」というセリフを勝手に入れたのをきっかけに、後に「高木刑事」が登場することになったそうだ。
ご存知の通り、高木刑事はおなじみのキャラクターとして活躍。恋愛模様も描かれるなど、作品に欠かせないキャラとなった。しかも、劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』でフォーカスされることにもなったので、大した出世である。