『週刊少年ジャンプ』(集英社)の歴代ヒーローたちは、激しいバトルと冒険を繰り広げるなかで、思わぬ瞬間に恋愛模様を見せることがある。意外すぎるタイミングや方法での愛の告白に驚かされた経験のある読者も多いだろう。そしてそれは、キャラクターの新たな一面を感じさせ、記憶に残る名シーンとなることもしばしば。
今回は、ジャンプヒーローたちの意外な告白シーンを厳選して紹介していきたい。
■天下一武道会で結婚!? 『ドラゴンボール』孫悟空
1984年から連載された、鳥山明さんの名作バトル漫画『ドラゴンボール』。主人公・孫悟空の告白シーンは、当時『ジャンプ』で読んでいて本当にビックリした。
舞台は第23回天下一武道会。前回優勝の天津飯にマジュニア(ピッコロ)や、中身は神様のシェンなど実力者ぞろいの決勝トーナメント進出者のなかに、登録名を“匿名希望”にする謎の美少女がいた。ご存じの通り、その美少女がのちに悟空の妻となるチチである。
第2試合で悟空とチチは対戦することになったが、なぜか彼女はカンカンに怒っていた。嫁にもらいにくるはずの悟空が、約束どころか自分のことを完全に忘れていたからだ。
二人の初めての出会いが描かれたコミックス2巻を確認すると、「嫁にもらいにきでくれな」というチチの言葉に少年の悟空は「なんかようわからんけど くれるもんならもらいにくるぞ」と、確かに応えてしまっている。
その後、チチのことを思い出した悟空は、“約束しちゃったもんな!”ということで、「じゃ ケッコンすっか!」と告白。それに対し、すかさずチチも「んだ!」と結婚を受け入れている。その状況を見ていた亀仙人やブルマたち、さらには当時の読者もそのあっという間の告白と結婚に呆然としたものだ。
そして、天下一武道会の名物アナウンサーも「おーとっ!! 孫選手結婚してしまいましたーっ!!!」と実況し、会場も祝福。突然のことに驚かされたものの、ある意味、非常に悟空らしい告白シーンだった。
■日常の一コマで何気ない告白…『幽☆遊☆白書』浦飯幽助
1990年から連載された冨樫義博さんの『幽☆遊☆白書』。本作の主人公・幽助と幼馴染の螢子の告白シーンは、心温まるものだった。
物語序盤に幽助が死んだ際、痛々しいほどに号泣していた螢子。火事で燃えさかる家から身を挺して幽助の体を運び出したのも、彼女だった。そして、死んでなお、幽助が一番気にかけていたのも螢子のことだった。はじめから、互いが意識し合う特別な関係だったことが見て取れる。
その後、本作では数多くの激しいバトルが繰り広げられていくが、コミックス最終19巻『平和の群像』という回の「相も変わらず」という2人の日常を描いた話のなか、幽助の螢子への告白ともとれるシーンが描かれた。
幽助が営む屋台に来店した螢子。2人らしい何気ない会話が続くなか「幽助の作るモノ初めて食べた」と、ラーメンを食べる螢子に「こんなもんでよけりゃ毎日作ってやるぜ」と幽助が返すのだ。
もしかするとその言葉に深い意味はなかったのかもしれないが、それを受け、顔を赤くする螢子の姿が微笑ましい素敵なシーンとなっている。
強者が次々と登場する「魔界統一トーナメント編」で緊張感のある展開が続いていただけに、ほっこりとした日常パートとのギャップがなんとも印象的だった。結果的には、本作において最終回目前の非常に大事なシーンとなったのである。