最新映画『静かなるドン2』も公開! 30年前の石田ゆり子も出演…中山秀征主演テレビドラマ『静かなるドン』の意外すぎた“面白さ”の画像
石田ゆり子 撮影/ふたまん+編集部

 新田たつおさんが描く『静かなるドン』は、累計発行部数が4,600万部を超える人気作品だ。物語は全108巻で完結しているものの、現在でも電子コミックなどで多くの読者を楽しませている。

 そんな本作だが、9月13日から実写版映画『静かなるドン2 前編』、27日から『静かなるドン2 後編』が伊藤健太郎さん主演で公開される。しかし本作は過去にも幾度か実写ドラマ・映画化がされており、なかでも中山秀征さんが主役を勤めたテレビドラマは当時話題となった。

 そこで今回は、1994年に放送された日本テレビ系ドラマ『静かなるドン』を振り返ってみたい。

■キャストが豪華! 意外な主役キャスティングもハマったドラマ

 1994年に放送された『静かなるドン』は、日本テレビ系列にて金曜日の20時より放送されたドラマだ。上述したように、主役の新鮮組三代目総長・近藤静也を中山秀征さんが演じている。これだけでも驚きのキャスティングだが、脇を固めるキャストも豪華だ。

 まず静也が憧れているマドンナ・秋野明美役を石田ゆり子さん、静也の母親・妙を野際陽子さん、静也の頼れる部下、鳴戸竜次を鹿賀丈史さん、ボディガードである猪首硬四郎を阿藤海さんが演じるなど、そうそうたるメンバーが揃っている。

 本ドラマのストーリーはこうだ。下着メーカーに勤める冴えない社員の主人公・静也。しかしその正体は、関東最大の暴力団・新鮮組三代目総長だった。そして静也は自身の素性を隠しサラリーマンを続けながら、数々のトラブルを解決していくのである。

 筆者は当時、静也を演じるのがコメディ色の強い中山さんだと知ったときは驚いた。たしかに原作でもコミカルなシーンが多い静也だが、極道に変身したときのハードボイルドさと中山さんのイメージが結びつかなかったからだ。しかし中山さんは持ち前の明るい笑顔でコミカルさを発揮し、ヤクザとしての戦闘シーンでは声色を変え迫力のある演技を披露し、好評を得た。

 静也はほぼサングラスだけで日常の姿を隠しているため、実写版でのサングラスは妙にデカい。それでも中山さんが白いスーツに身をまとい、ビシッと敵と対決していくシーンはとてもカッコよかった。

■ヤクザドラマというより探偵ドラマ!?その人気からスペシャルドラマも

 一般的に任侠もののストーリーとなると、好みが分かれる印象がある。しかし、ドラマ『静かなるドン』は、ヤクザものというより、毎回巻き起こるトラブルを解決していく探偵ドラマのような内容だった。

 たとえば、第4話「三代目の身代金」は、総会屋が静也が勤める会社に嫌がらせをし、さらにその一味が静也を誘拐してお金を要求してくるという内容だ。

 通常の極道であれば力づくで問題を解決してしまいがちだが、本作はサラリーマンの静也やその仲間が鋭い洞察力や推理力を生かして問題に立ち向かい、最後は静也がカッコよく登場して悪を成敗する。

 静也の正体がバレてはならないという設定も相まって、毎エピソードの終盤は『遠山の金さん』のようなヒーロードラマになっているのも魅力だった。

 また、放送時間が夜の8時という時間帯だったため、子どもが見ることも考慮されていたのだろう。任侠ものではお決まりの過激な暴力描写やベッドシーンは抑えられており、家族全員で楽しめる内容となっていた。その甲斐あってか、平均視聴率は13.4%と好評で、95年、96年には同じキャストでスペシャルドラマも放送されることとなったのである。

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