■時を経て、開発者自身がまさかの“裏事情”を解説

 そのインパクト大な現象の数々でプレイヤーを震撼させた“8月32日バグ”。しかし、2010年、X(旧Twitter)を通じ、開発者である綾部和さんがこのバグの全容を解説。大きな話題を呼んだ。

 綾部さんによれば、この“8月32日”バグが発見されたのは、ゲームが発売してから約2年が経過した頃のことだったそうである。

 本来は存在しないデータを読み込むため、通常はゲームが停止してもおかしくない状況だったが、構築しているプログラムが優秀であるため、不具合が起きてもなお通常通りに動き続けたのだという。

 このため、一見すればいつも通りの田舎の風景を駆けまわれているのだが、やはり存在しないデータを参照し続けている影響か徐々に無理が出てきてしまい、その影響でキャラクターや文字の崩壊が引き起こされたのだという。

 バグの原因こそ完全な想定外のものだったが、その一方、そんなありえない状況でもなお問題なく動作しようとしてしまうプログラムの強固さを、バグが間接的に証明することとなった。

 ちなみにこの“8月32日バグ”はPS版のみで起こるものであり、のちに発売されるPSP版では発生しない。

 なんともおどろおどろしいバグではあるが、結果的にこのバグ自体が『ぼくのなつやすみ』という作品の知名度を高める結果にもつながっており、思いがけない形で過去の名作が再注目されることとなった。

 

 普段の雰囲気との落差から見た者を恐怖に陥れた“8月32日バグ”だが、のちに開発者自らその裏事情が語られるなど、思いがけない方向に話が展開されていった。

 興味津々な人も多いかもしれないが、“バグ”であることから想定外の影響もあるようなので、あくまで試すのは自己責任でお願いしたい。

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